←前回 次回→ ?今月の目次 ジャンル別一覧  ご意見ご感想はこちらから

『男はつらいよ・寅次郎純情詩集』を観た

2002.5.10

 山田洋次監督作品『男はつらいよ・寅次郎純情詩集』(テレビ東京9日21:00〜23:09)を観た。シリーズ第18作である。

テレビ東京系では、昨年10月から2年かけて全48作を放送予定である。系列6局(テレビ北海道テレビ東京テレビ愛知テレビ大阪テレビせとうちTVQ九州放送)の他にも、新潟テレビ21MBC南日本放送でも放送予定。
テレビ東京での放送予定はこちら

 甥である満男の担任(檀ふみ)に恋するかと思いきや、実はその母親(京マチ子)に惚れてしまうというストーリー。冒頭で、義弟・博(前田吟)と本格的な喧嘩をして飛び出してしまったため、「どうやって柴又に帰ってくるんだろう」と心配(?)していたら、別所温泉(長野県上田市)で無銭飲食をしてさくらが引き取るということになった。無銭飲食といっても、“金に困って食堂で”ではなく、旅芸人一座に――金がないのに――大盤振る舞いをするという設定だった。大宴会を開いた翌朝、一座を見送った後で女中さんが勘定書きを持ってくる。このときの寅さんがかっこいい。

これは昨日の宴会の代金も入ってるの? あ、そう。じゃ、ちょっと御主人に話があるから、そぅ言ってきて。ウン。

 そーか。慌てず騒がずこう言い放ちゃなきゃいけないんだな、なるほど(って無銭飲食はしちゃいけないんだけど^_^;)。落語『居残り佐平次さへいじの参考になったよ。

 落語といえば、一人芝居――「とらや」の面々を聴衆にした渥美清の独壇場――シーンでも落語『たらちね』を思い出させるセリフがあった(「チンチロリーンのサックサックのポーリポリ」)。『たらちね』というのは、長屋住まいのがさつな独り者のところに、言葉遣いがていねいな嫁が来て、その言葉遣いのギャップを笑うという落語。今回のマドンナ京マチ子さんはお嬢さま育ちという設定だったから、『たらちね』との共通点はある。

 このころ(1976年公開)の山田洋次監督は落語に凝っていたのかもしれない。

曲尺かねじゃく鯨尺くじらじゃくを商う寅次郎を取り締まろうかという警察官を永六輔が演じていたのに爆笑。