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三行書評 第66回

2002.9.23

 五つ星が満点

ジャレド=ダイアモンド
『銃・病原菌・鉄』
(倉骨彰/草思社全二冊ISBN4-7942-1005-1,ISBN4-7942-1006-X)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 遺伝学・分子生物学・生物地理学・疫学・言語学・文化人類学・歴史学(技術史・文字史・政治史)を駆使して人類の1万3000年を検証し、《私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?》というニューギニア人ヤリの疑問に答える(質問を受けてから原書刊行まで25年)。「究極の理由」を乱暴に要約してしまえば、文明が発達したユーラシア大陸が東西に伸びていたのに対して、進歩しなかった南北アメリカ大陸やアフリカ大陸は南北に伸びていたためだと主張している。
コメント 上下2冊645頁を費やして詳細な検証を与えているにもかかわらず、まだまだ研究の余地があるとしている点は科学者だなぁと思わせるに充分だ。
軍事同盟研究会
『知られざる戦争報道の舞台裏』
(アリアドネ企画発行三修社発売ISBN4-384-02795-8)
お薦め度 ★★★★
あらまし パレスチナの民族蜂起インティファーダやグルジアのチェチェン武装勢力などを現地で取材したり、現地取材のノウハウを伝授したり、日本・アメリカ・北欧諸国におけるメディア報道を分析したりした論考集。
コメント カメラを奪われたり拘束されたり負傷したりといった現場リポートが格段に面白い。この文章を読むだけでも、意外な事実が浮かび上がってくる。
桐野夏生
『OUT』
(講談社ISBN4-06-208552-6)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 山本弥生(34)は弾みで夫を絞め殺してしまった。弁当工場のパート仲間である香取雅子(43)に相談すると、バラバラにして捨ててくれると言う。吾妻ヨシエ(50)と城之内邦子(29)が手伝わされる羽目になる。しかし完全犯罪が成功するはずもなく、公園から遺体の一部が見つかってしまう。
コメント 警察の捜査から逃れることができるのか……という展開だけでは、おもしろくないかもしれない。宮部みゆきさんなら、人物をもっと描きこんだ上でもう少し絡ませただろうなぁなんて思った<贅沢。西田尚美・原田美枝子・倍賞美津子・室井滋・間寛平の出演、平山秀幸監督で映画化された(10月公開予定)。

 2週間でこんだけかい^_^;。とは言うものの、2冊組みだったり大部だったりするので、まぁこんなもんですか。