←前回 次回→ ?今月の目次 ジャンル別一覧  ご意見ご感想はこちらから

『利家とまつ』って面白い?

2002.10.27

3週間前に続いて、NHK総合の大河ドラマ『利家とまつ』(再放送)を見てしまった。

トレンディ時代劇”などと一部で呼ばれているそうだが、それは出演者(唐沢寿明・松嶋菜々子・反町隆史)に因るものと思っていた。だがこのたび、まる三はもうひとつの要因を見つけてしまった。

 26日に再放送された第41回「小田原攻め」は、秀吉が北条氏を攻め滅ぼす話だった。スパイだと疑われた利休の弟子や遅参した伊達政宗の命乞いをする利家、などというエピソードがあったあと――

全てに苛立つ秀吉のもとに、まつが訪ねてくる。まつは、利家と自分は絶対、秀吉の味方であるから、天下万民のためにもご自愛くださいと頼むのだった。〔公式サイトの「あらすじ」から引用〕

 京の前田邸で暮らしているはずのまつが小田原に現れるのだ(>_<)。神出鬼没である。

 これと似たようなことは多々あって、たとえば、第30回「男泣き!柴田勝家」。勝家と秀吉が対立しているときに利家は勝家側に付き、能登の北庄城に居た。すると――

一方、おね(酒井法子)がはるばる能登のまつを訪ねてきて、勝家と組むのをやめるよう説得するが……。〔公式サイト「あらすじ」から引用〕

 敵対する城におね(秀吉の妻)が乗り込むというモノスゴイ展開になっていく。

 事ほど左様に、『利家とまつ』の登場人物たちは――手紙なんていう生ぬるい手段はとらず――徹底的に直接会うのだ。

 これは、携帯電話で連絡を取りまくる現代に通ずる(といっては飛躍しすぎかなぁ)。

移動体通信の普及率が関東地方で66.3%(郵政研究所調べ2001年9月)という現代にあってできないのは、「すれ違い」だそうだ。『君の名は』なんて絶対に起こりえない時代になっている。

 画面にケータイが映ったら、大河ドラマではなくて『浮浪雲』(1978年/テレビ朝日/脚本:倉本聰/演出:近藤久也/出演:渡哲也・桃井かおり・谷啓・笠智衆ほか)になってしまうから映らないけれど、登場人物たちがケータイを持っているとしか思えない。これが『利家とまつ』=トレンディ時代劇説の理由である。

 

 ここからはおまけ。

ナンバー2の美学と哲学”や“ライバル・男たちの友情”(いずれも公式サイト「企画意図」から引用)を掲げている『利家とまつ』だが、結局、信長・秀吉・家康を中心に物語が進んでいっているようだ(たとえば、秀吉が小田原城の北条氏を攻めているとき利家は、関東各地で北条氏配下の武将たち――大道寺政繁@松井田城や北条氏照@八王子城や北条氏邦@鉢形城や上田氏@松山城――を攻めており、小田原には居なかった模様だが、ドラマでは小田原で秀吉に諫言している)。どうも“利家の物語”にはなっていないような……。

 まる三のワガママとしては、信長・秀吉・家康がほとんど出てこない戦国大河ドラマを作って欲しい。候補としては島津家なんかどうでしょう。島津家文書(国宝)も見つかっているそうだから、秀吉の九州征伐や関が原のときの島津の退き口など、エピソードにも事欠かないような気はする。