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三行書評 第71回

2002.10.28

吉野家で牛丼並盛つゆだく+たまごを食べたのだけれど、向かいに座っていた大学生(らしき人)が特盛+並盛を食べていました。若いっていいですネ。

 五つ星が満点。

小菅桂子
『カレーライスの誕生』
(講談社選書メチエISBN4-06-258243-0)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 美味の秘密・伝来の道・日本史事始・二都物語・戦後史という章立て(いずれにも「カレー(の)」がつく)で、ジャガイモとタマネギとニンジンを入れて小麦粉でとろみをつけた「日本のカレー」の歴史を見る。
コメント 1936年7月の阪急百貨店食堂の記録によると、20銭のコーヒー付ライスカレーが1万3000食も食されていたそうだ。幅広く文献を調べているし、なんと索引まで付いているという(薄いけれども)マジメな本。
宍倉幸則
『Windows XP Bible』
(技術評論社ISBN4-7741-1367-0)
お薦め度 ★★
あらまし 《Windows 3.1以来、およそ十年もの長期にわたり絶大なご支持をいただいているWindows全機能BibleシリーズのWindows XP版です》(「まえがき」から)。
コメント 本文522頁という大部だが、それでも説明不足は否めない。初心者には用語説明などが少なくて不親切だし、上級者には項目不足で物足りない。なかなか詳細な目次を備えてはいるけれども、索引が付いていないのも如何なものか。
森崎行恭*1
列島縦断毎日が乗り物酔い』
(小学館ISBN4-09-341071-2)
*1…「森崎」の「崎」は、正しくは“大”の部分が“立”になったもの。
お薦め度 ★★★★★
あらまし 馬車鉄道・モータートロッコ・トロリーバス・ホバークラフトなど、日本の「ちょっと変わった乗り物」を訪ね歩いた漫遊記。月刊誌『ラピタ』に連載。
コメント 首都圏以外の方に僕がお薦めするのは、〔飛行機〕羽田〔モノレール〕浜松町〔徒歩〕大門〔地下鉄大江戸線〕新宿〔小田急〕小田原〔箱根登山鉄道〕強羅〔箱根登山ケーブルカー〕早雲山〔箱根ロープウェイ〕桃源台〔芦ノ湖遊覧船〕箱根町〔箱根登山バス〕小涌谷宿泊というコース。特に小田原−箱根湯本間はレールが3本あります。鉄道愛好家には必見です。
丸谷才一
『花火屋の大将』
(文藝春秋ISBN4-16-358690-3)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 『オール讀物』2001年2月号から2002年4月号に連載したちょっと長めのエッセイ集。
コメント 上手い。「マルヤ〜」と何度も心中ひくくつぶやいた。握手が嫌いだなんて話を延々するけれど、『女ざかり』映画化のとき、吉永小百合さんと《むしろ喜んで握手したのですね》とオチをつける。上手いなぁ。丸谷さんのその他のエッセイも読むようにしたいと思った。
乙武洋匡
『乙武レポート』
(講談社ISBN4-06-210137-8)
お薦め度 ★★★★
あらまし 1999年4月から翌年3月まで、TBS『ニュースの森』に出演していた乙武さんが、取材の様子や出演についてスタッフとの交流を中心に綴った手記。
コメント 仕事っていうのはなんだって大変なのは当たり前だけれども、いろんなところに行ける上に進藤晶子さんや小倉弘子さんに逢えるんだったら楽しいだろうなぁ。羨ましい限りである。
足立倫行あだち のりゆき
『お父さんの心配』
(太田出版ISBN4-87233-082-X)
お薦め度 ★★★
あらまし 1988年から1992年まで(著者40歳から44歳まで)にいろんなところに書いた文章を集めたエッセイ集。
コメント 問題提起が中心だが、飼い犬ホセ=アントニオ=デ=アダチ(愛称ペペ)の飼い主としてのバカぶりを吐露した「犬は走る」が面白い。