←前回 次回→ ?今月の目次 ジャンル別一覧  ご意見ご感想はこちらから

『マルコヴィッチの穴』を観た

2002.12.31

 先週末――詳しく言うと26日〜28日――TBSが深夜の時間帯に映画を放送した。

 『顔』(監督:阪本順治/出演:藤山直美・佐藤浩市/松竹2000年)『マルコヴィッチの穴』(監督:スパイク=ジョーンズ/出演:ジョン=キューザック・キャメロン=ディアス/米1999年)『花様年華』(監督:ウォン=カーファイ/出演:トニー=レオン・マギー=チャン/香港2000年)――というラインナップを見ても分るとおり、「話題にはなったけれども、21時から放送しても視聴率的にちょっと……」という映画たちだ。

 まる三としては、『顔』はレンタルビデオで見た。ので、とりあえず『マルコヴィッチの穴』を観てみた。

いやーぶっ飛んだよ

 クレイグ=シュワルツ(ジョン=キューザック)は、腕は確かだけれども売れていない操り人形師、妻ロッテ(キャメロン=ディアス)の稼ぎで暮らしている。修道僧と修道尼が壁越しに妄想を膨らませる、なんていう演目では世間に受け入れてもらえないかもしれない。いよいよ生活に困ったので定職に就くことにしたが、見つけた職場は“7と1/2階”。ここらへんから話がぶっ飛んでくる。7と1/2階に行くにはエレベータを非常停止してバールでこじ開けなければならないし、天井は低いし、まともな会話ができない秘書までいる。不幸中の幸いは、マキシン(キャスリーン=キーナー)という美女が同僚だったことで、クレイグは彼女に一目惚れしてしまう。
そしてある日、クレイグは、15分間だけ俳優ジョン=マルコヴィッチになれる穴を見つけた。
“穴”を使って商売を始めたクレイグとマキシンだが、やがてマキシンがマルコヴィッチと肉体関係を結ぶにいたって、ロッテとマキシンがマルコヴィッチを介して恋に落ちたり(レズビアンです)、マルコヴィッチ本人が「誰かに操られているような気がする」と不信感を抱いたり、マキシンへの恋心が捨てられないクレイグがマルコヴィッチの身体を独占した上でマルコヴィッチを操りだしたりする。

えーと。理解できてますか^_^;?

 とにかくもうぶっ飛んでいるのだ。どこからこういう発想が出てくるのか感心するばかりだ。荒唐無稽ではあるけれども、このあとどうなるのだろうと目が離せない。

 前半で、修道僧と修道尼の妄想を描いた人形劇を街角で上演していて通行人に殴られるわけだが、帰宅した妻ロッテが「また殴られたの?」と言うのだ。ストーリーおよび設定は荒唐無稽で難しいかもしれないが、こういうところはキチンと分りやすかったりするところも素敵。

 ハリウッドの大作に飽きたら、こういう作品も良いかも。お薦め度は★★★★。

『マルコヴィッチの穴』公式サイト
ところどころ音がします