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三行書評 第92回

2003.3.24

 五つ星が満点。

東京日日新聞社会部
『戊辰物語』
(岩波文庫ISBN4-00-334311-5)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 戊辰戦争(1868年)からちょうど60年目の昭和3年に東京日日新聞(現 毎日新聞)に掲載された、故老たち(高村光雲ら)からの聞書による《維新の側面史》。
コメント 維新を飾る人物たちの英雄譚だけでないところと、庶民の様子が描かれているのが良い。たとえば、甲陽鎮撫隊(近藤勇・土方歳三など)が甲府に向かう途中に飲んでは泊まり泊まっては飲みながら甲州街道を進んだので、板垣退助率いる西軍のほうが甲府に先着したとか、《朝湯などで、流し場へ足をなげ出して、手拭を頭の上へのせながら、「近いうちに公方様と天朝様との戦争があるんだってなア」という話でも仕合う位のものである》とか。
八木一正
『遊園地のメカニズム図鑑ジェットコースターが落ちない理由
(日本実業出版社ISBN4-534-02531-9)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 高校教諭かつ物理教育実践検討サークル「ガリレオ工房」の中心メンバーである著者が、ジェットコースター・落下系・海賊船などを力学している。
コメント ジェットコースターの最前部と最後尾の怖さの違いが示されているなど、なかなか面白い。
西山豊
『ブーメランはなぜ戻ってくるのか』
(ネスコISBN4-89036-879-5/文藝春秋発売
お薦め度 ★★★★
あらまし 大阪経済大学助教授の著者が科学する表題どおりの本。
コメント ブーメランが揚力差と歳差で戻ってくるとは思わなかった。勉強になるなぁ。
山谷拓志やまや たかし監修
『すぐわかるアメリカンフットボール』
(成美堂出版ISBN4-415-02119-0)
お薦め度 ★★★★★
あらまし フィールド・ゲームの流れ・選手のポジション・戦術なども含め、「ルールが難しいと思われてしまっている壁」を取り除くために書かれた本。
コメント 僕はもうアメフトには詳しいんだけれども(自慢)、どんな本だろうかと思って読んでみた。なかなか分かりやすい。これを脇において試合を見るといいかもしれない。索引があればもっとよかった。
後藤完夫ごとう さだお
『進め!スーパーボウル』
(タッチダウンISBN4-924342-8)
お薦め度 ★★★
あらまし 日本で唯一のアメリカンフットボール月刊誌『Touchdown』編集長である著者が綴るWhat's NFL・スーパーボウル戦評・戦術講座。(月刊誌でなければ他にもあるけれど。)
コメント ウェーバー制ドラフト・三年でFA・サラリーキャップ制など、リーグ全体で繁栄しなければいけないという姿勢はやはり素晴らしい。
西原理恵子
『できるかな』
(角川文庫ISBN4-04-354306-9)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 自作したガイガーカウンター放射能探知機ガイガーカウンターを持ってナトリウム漏れ事故後の高速増殖炉もんじゅに行ったり、昔は性の解放区だった新島の今を報告したり、タイ・バンコクの裏通りの暮しを紹介したり、ロックコンサートに行ったり……。
コメント ブラックな笑いに飢えている方向け。
みうらじゅん
『マイブームの魂』
(角川文庫ISBN4-04-343402-2)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 1997年に流行語大賞を受賞した「マイブーム」。その造語者いいだしっぺであるみうらじゅんが綴るマイブーム――奥村チヨ・仏像・女装・ボブ=ディラン。
コメント まえがき([マイブーム]宣言)に書かれているとおり、同じネタが続くけれども、奥村チヨの『恋の奴隷』が真性M女の唄であるのに対して、伊東ゆかりの『小指の思い出』はS女の唄だと喝破した「チヨとボクとSMと愛」は必読。