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三行書評 第99回

2003.5.12

 五つ星が満点。

池田清彦
『さよならダーウィニズム』
(講談社選書メチエISBN4-06-258120-5)
お薦め度 ★★★★
あらまし 「偶然起こる突然変異が、自然淘汰された結果進化する」という立場をとるネオダーウィニズム。すべてを完璧には説明できないネオダーウィニズムの対案が「構造主義進化論」である。これもまたすべてを説明できるわけではないが、かなりの説得力を持っているように思えた。
コメント ネオダーウィニズムを説明した前半(3章まで)と、構造主義とは何ぞやを説明した第4章と、構造主義進化論を展開した第5章からなる。第4章が鬼門^_^;。理解し難いこと哲学の如し、である。
郡山和世
『噺家カミサン繁盛記』
(文藝春秋ISBN4-16-334790-3)
お薦め度 ★★★
あらまし 柳家小三治夫人である著者が(主に弟子に対する不満を)綴る憤懣日記(『週刊文春』に連載)。
コメント 「その二(第二章に相当)お嬢様がオカミサンになるまで」が面白い。
小林信彦
『名人志ん生、そして志ん朝
(朝日新聞社ISBN4-02-259820-4)
お薦め度 ★★★★
あらまし 《「志ん朝の死によって、ぼくの老後の楽しみはみごとに失われた」というほどの衝撃を受けた著者が、志ん朝、そしてその父・志ん生を軸に、東京落語の過去と現在を、自らの体験を織り交ぜて描》いた本。
コメント 「体験を織り交ぜて」というよりも、みずからの体験(聞いたこと見たこと)中心であり、著者がいかに志ん生・馬生・志ん朝を愛していたかがわかる。
美濃部美津子
『三人噺志ん生・馬生・志ん朝
(扶桑社ISBN4-594-03722-4)
お薦め度 ★★★★
あらまし 著者は、志ん生の長女で、馬生・志ん朝の姉に当たる。「なめくじ長屋」から三人との別れまで、美濃部家の生活史と言える。
コメント 志ん生というと「びっくりして腰抜かして座りしょんべんするな」(火焔太鼓)、馬生というときっちりした人情噺、志ん朝というと「酢豆腐」の粋人が印象に残っている。