三行書評　第102回

2003.6.3

　1日遅れの三行書評。五つ星が満点。

橋本一夫 『日本スポーツ放送史』 （大修館書店ISBN4-469-26224-2）
お薦め度	★★★★★
あらまし	1927年8月13日に《甲子園臨時出張所》から中継された第13回全国中等学校優勝野球大会・札幌一中対青森師範戦が、日本スポーツ放送の嚆矢だそうである。第3回世界陸上選手権東京大会（1991年）までの、スポーツ中継を概観する。
コメント	とはいうものの、スポーツ中継以外の話題が多く、スポーツ中継に絞ったら新書でもページが余るかもしれない。
吉長成恭・関根秀樹・中川重年編 『焚き火大全』 （創森社ISBN4-88340-147-2）
お薦め度	★★★★★
あらまし	種類・分類・材料・道具・技術・法則・料理は言うに及ばず、焚き火を題材とした文芸・絵画まで。
コメント	編著者の肩書きが面白い。たとえば代表者3名は順に、日本焚火学会世話人代表、国際火遊び学会顧問、全国雑木林会議所属である。“大全”の名に恥じない労作だと思う。
Saint文藤森異端漫画 『マンガ ハッカー入門』 （データハウスISBN4-88718-694-0）
お薦め度	★★★★
あらまし	16頁のマンガによる導入部と、なかなかしっかり書かれた解説がワンセットで、無線LANのハッキング・ウイルス・企業スパイ・掲示板荒らし・サルベージ・違法コピーなどを説明している。
コメント	大して期待していなかったのだが、良い方向に裏切られた。
DVD研究会 『DVDコピー術』 （祥伝社ISBN4-396-69453-9）
お薦め度	★★★
あらまし	この類の本はパソコンコーナーによく並んでいる。「DVDはリッピングするだけで違法である！」と最初に掲げてあるのだが（リッピングとは、DVDのデータをハードディスクにコピーすること）、以降、DVDをコピーする方法が詳細に書かれている。
コメント	いいのか^_^;？　ソフトのダウンロード方法とインストール方法も記述されているのは珍しいかもしれないが、本当にこの1冊だけでコピーができるかどうかは……どうでしょう。
椎名誠著垂見健吾写真 『風のかなたのひみつ島』 （新潮社ISBN4-10-345615-9）
お薦め度	★★★★
あらまし	『波のむこうのかくれ島』の続篇。日本の島八つ（網地【あじ】島・粟【あわ】島・答志【とうし】島・怒和【ぬわ】島・加唐【かから】島・奄美大島・加計呂麻【かけろま】島・池間島）の訪問記。垂見カメラマンの写真も多数。
コメント	キャンプではなく、宿に泊まって人との触れ合いに重点を置いているようだ。
奥野修司 『ねじれた絆』 （文春文庫ISBN4-16-765641-8）
お薦め度	★★★★★
あらまし	《小学校にあがる血液型検査で、出生時の取り違えがわかった二人の少女。他人としか思えない実の親との対面、そして交換。「お家に帰りたいよう」。子供たちの悲痛な叫び――。沖縄で実際に起こった赤ちゃんの取り違え事件。発覚時から、二人の少女が成人するまで、密着した著者が描く、家族の絆、感動の物語。解説・柳田邦男》（裏表紙から）。文庫化に当たって、単行本刊行から七年後の様子も書き下ろされた。
コメント	覗き見趣味だと言われるかもしれないが、久々に面白いルポを読んだ。慌てて付け加えておくけれども、著者の姿勢は覗き見趣味ではない。あくまでも真摯である。そうでなければ、文庫化までの25年間、二つの家族と密接に付き合うことはできなかっただろう。グリグリの◎

　1日の夕刻に『ねじれた絆』を読み始めたら止められなくなってしまった。更新よりも読書だということで、更新が1日遅れましたm(__)m。