2003.11.15
14日の『にんげんドキュメント』（NHK総合／金23:00〜23:45）では、阪神タイガースの矢野輝弘捕手のドキュメントだった。福岡ダイエーホークスとの日本シリーズでの戦いを中心に、矢野選手の野球に対する姿勢を描いたドキュメント「阪神をリードした男〜捕手 矢野輝弘〜」である。
にんげん”ドキュメントを謳っていたけれども、スポーツドキュメントになっていて（いや、スポーツだって人間がやってるんだけど）矢野輝弘さんの人となりよりも矢野輝弘選手の技術――特に若手投手を掌握して活躍させる技術――に重点が置かれていたようだ。インタビュー――本人・星野監督・安藤投手など――もあったけれど、たぶんすべてが事後インタビューと思われるため臨場感が感じられなかった。一言で言えば、ナレーションを担当した有働由美子アナが好きな“スポーツ＋周辺の話題”である（正確にはNHKのスポーツ担当ディレクターが好きなんだろうけど）。
まる三は、『にんげんドキュメント』自体は基本的に好きである。たとえば、たった一人で讃岐うどんの店を切り盛りするおばあちゃんを描いた「るみばあちゃんの讃岐うどん」（10月24日放送）とか、博多祇園山笠の櫛田入りで“右三番棒鼻”を担ぐことを目指す男たちを描いた「博多山笠 男たちの棒競り」（8月29日放送）とか、第12回世界剣道大会12連覇を託された日本代表の大将・栄花直輝選手を描いた「ただ一撃にかける」（7月18日放送）とか……素晴らしいドキュメントが多々ある。
『にんげんドキュメント』が基本的に好きなまる三がこんなことを考えてしまったのは、『情熱大陸』（TBS／日23:00〜23:30）で7月27日に放送された矢野輝弘さんのドキュメントを見てしまったせいだ。毎日放送制作のこの番組では、矢野輝弘さんに何日間か密着して同時進行で取材し、矢野輝弘さんが運転する車の同乗取材はもちろんのこと自宅にまで行って家族の方々まで登場していた。ところを見ると、“人間 矢野輝弘”を描き出すことに成功していた（と思う）。
密着伴走の毎日放送に対して後追いのNHKといった感が否めなかったまる三でした。