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三行書評 第126回

2003.11.24

 五つ星が満点。

柳瀬尚紀
『辞書を読む愉悦』
(角川選書ISBN4-04-703350-2)
お薦め度 ★★★
あらまし OED・広辞苑・現代用語の基礎知識はもちろん、種牡馬辞典までさまざまな辞書を持っている著者が綴る「辞書エッセイ」。
コメント ジェイムス=ジョイスの著書『ユリシーズ』『フェネガンス・フェイク』を訳しているだけあって――ジョイスの著作については原書はもちろん訳書でも読んだことがないが筋だけ追っても仕方ない技巧的な文章らしい――言葉遊びの巧みさは並大抵ではない。
椎名誠
『からいはうまい』
(小学館ISBN4-09-394044-4)
お薦め度 ★★★★★
あらまし カレーライスとスパゲッティとステーキが流行らない、唐辛子と冷麺とカルビとプルコギの国・韓国を中心に、チベットの火鍋・遠野のワサビ・信州の辛味大根を訪ねた食紀行。小泉武夫塾長による辛味食文化入門塾付き。
コメント たまらん。たとえば、冷麺を食べ終わった後のスープに蕎麦湯を入れて飲むなんてたまらん。読んでいるだけで唾液分泌が促進されてしまう。そのうえ装幀(太田和彦)にヤラれた。表紙は赤地に赤唐辛子、裏表紙は緑地に青唐辛子、背表紙に目を移すと赤地と緑地が太極旗のように色分けされている。
山下洋輔
『ピアニストに御用心!』
(新潮文庫ISBN4-10-123302-0)
お薦め度 ★★★
あらまし あちらこちらに書いたエッセイのうち単行本未収録だったものを大棚ざらえしたもの。
コメント 寄せ集めであることが災いしたせいか、期待通りとはいかなかった。そんななか草野球チーム「ソークメナーズ」に関する連載(『面白半分』連載)は面白かった。
合田道人
案外、知らずに歌ってた童謡の謎』
(祥伝社ISBN4-396-61146-3)
お薦め度
あらまし 『しゃぼん玉』から『ロンドン橋』まで、童謡の意外な謎に迫った「童謡の謎」シリーズ第1作。
コメント これは眉に唾して読んだほうがいいかもしれないゾ。誤字(×下り○行)はあるわ、いい加減な引用(×ふりかへって○ふりかへつて)はあるわ、有害な伏字(チン○○がチンチンなのかチンポコなのか判らない=資料的価値がない)もあるのである。一言で言えば“牽強付会”という印象が残った。
合田道人
『童謡の秘密知ってるようで知らなかった
(祥伝社ISBN4-396-61189-7)
お薦め度
あらまし 『ふるさと』から『グリーングリーン』まで、童謡の意外な側面に迫るシリーズ第4作。
コメント 作者(の家族)に確認を取ったりしているので、『〜謎』よりもかなりマシになったようだ。それでも、「こういう説もある」くらいに受け止めておいたほうが良いのかもしれないと思う。