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三行書評 第155回

2004.7.5

 五つ星が満点。

清沢洌きよさわ きよし山本義彦
『暗黒日記』
(岩波文庫ISBN4-00-331781-5)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 《太平洋戦争下、豊かな国際感覚と幅広い交友をもとに、当時の政治・経済状況や身辺の生活をいきいきと記した稀有の記録(原題「戦争日記」)。(略)その鋭い時局批判はリベラリズムの一つの頂点を示している。人名・事項索引を付す。》(表紙から)。
コメント 1945年4月15日に《空爆の洗礼を受け》て、《怒り心頭に発するというのはこの事だろう。しかしそれが、ただ「米国」という敵だけではないようだ。(略)「こんな戦争をやるのは誰だ」と、僕はこの愚劣な政治と指導者に痛憤していたのである。》という人である。
久保田裕道
『目からウロコの日本の神様』
(PHP研究所ISBN4-569-62477-4)
お薦め度 ★★★★★
あらまし “『古事記』から台所の神さままで”という副題どおり、古事記で紹介される神様をはじめとして、仏教・神道・民間信仰の神様(仏様)を紹介したあとに神職(神主)への道や民俗学へのアプローチ方法にいたるまで網羅。
コメント 読み物風になっているのでたいへん読みやすかった。参考文献の紹介の仕方がアプローチ別になっている点も○。
対論筑紫哲也
『このくにの行方』
(集英社ISBN4-08-781301-0)
お薦め度 ★★★★
あらまし TBS『ニュース23』で放送された「対論・筑紫哲也 このくにの行方」に補筆加筆したもの。カルロス=ゴーン・養老孟司・加藤周一・緒方貞子・奥田碩(ひろし)・野中広務・北野武・出井伸之各氏が登場。
コメント 白状しておくけれども、養老孟司さんの著作を読んで理解できたことがない^_^;。どこかが難しいのである。今回も、養老さんの対論だけピンとこなかったことを白状しておく。
樋口秀雄
『江戸の犯科帳』
(新人物往来社ISBN4-404-02172-0)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 国立国会図書館に保管されている『御仕置例類集』は、明和8年(1771)から天保10年(1839)までの68年間における犯罪と判決の記録、つまりは判例集である。その中から、160余りの事件を取り上げたのが本書。合わせて、江戸時代の司法制度や刑罰についても解説している。
コメント 事例集の部分も面白かったけれども、司法制度と刑罰に関する解説が興味深かった。時代劇を見るうえでの参考になるかもしれない。
サイエンティフィック=アメリカン編集部
『そうだ! 科学の先生に聞いてみよう』
(青島淑子/阪急コミュニケーションズISBN4-484-04114-6)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 「地球はどのくらいのスピードで動いてるの?」「クジラやイルカは海で寝ておぼれないの?」「どうして右利きの人が多いの?」「ステンレスはなぜ錆びないの?」「スピードガンてどんな仕組みなの?」など、《大人がグッとつまる子供の質問90》。原題が「Ask the experts(専門家に訊け)」。分らないことは大学教授や研究者に訊いてみようという科学読み物。
コメント 「解明されていない」とか「諸説ある」とか、疑問がすっきり解決されるわけではないけれども、それが専門家の誠実さなのかもしれない。何はともあれ、理科嫌いだけれども好奇心の強い人にはお薦め。

 採点が甘いわけではありません。今週はオモシロ本ばかりでした。