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あと3本? 2本? それとも……

2004.10.1

 イチローの安打数が254本となっていた9月30日午前11時(日本時間、以下同じ)から、TBSが、マリナーズ×アスレチックスの試合の一部を25分番組――司会:戸崎貴広アナ/ゲスト:小宮山悟さん(千葉ロッテ)――として生中継した。

ミニ中継”ではなくて“番組”としたのにはワケがあります。

 11時5分の試合開始までは、シーズン最多安打記録挑戦のミニドラマや観戦のためにシアトルから駆けつけたイチロー夫人弓子さんなどを放送し、1回表のイチローの打席(結果は四球)が終わると、試合の流れとは関係なくCMを差し挿み、試合の流れとは関係なく小宮山×イチローのVTRを流し、試合の流れとは関係なく外野守備についたイチローをずーっと映していたからだ。
だから、画面と関係ないところで打者がアウトになったり、投球や打球の行方とは関係なくイチローが映っていた。

これじゃ“中継”じゃないでしょ?

 でもね。守備についたイチローがいかに身体を動かしているか(ストレッチをしているか)とか打球に対する備えをどうやっているのかがよーく分って面白い映像だった。
中継だったら怒るところだけれども、番組と考えればそれなりに楽しめるものだった。

 ここからは余談。

 まずは本日のタイトルの解題。
「シーズン最多安打記録257本にあと2本と迫った255本」という状況の場合、日本のメディアは“タイ記録”達成まであと2本と報じるのに対して、アメリカのメディアは“新記録”達成まであと3本と報じます。たとえば大リーグ公式サイトのイチロー特集コーナーhttp://mlb.mlb.com/NASApp/mlb/mlb/events/ichiro_hits_tory/index.jsp から引用するとこんな感じ――

“新記録達成まで”の例

 ピコ日米文化論比較でした。
「それから……」を付け足したのは、みなさんがご覧になる時点では新記録が達成されているかもしれないからです。

以前、アメリカのスポーツメディアも駄洒落が好きという話をちょっとだけ書いたことがあるのだけれど、その好例をまた見つけました。
上でも引用したイチロー特集コーナーのタイトルが“Single-Season Hits-tory”。言うまでもなく、Hits(ヒット:複数形)とHistory(歴史)から作った合成語だ。
さらに、ツインズ戦ダブルヘッダーに二連勝して(さらにレッドソックスが負けたために)マジックが3つ減ったヤンキースに関する記事のタイトルが“Twin-sweeping reduce Yankee's magic num(拙訳“ヤンキース、ツインズ2タテでマジック減らし”:reduceは“減少させる”の意)”だった。“Twin-sweeping”が、“Sweeping Twins(ツインズを2タテ:sweepは“一掃する”の意)”と“Twins Weeping(嘆き悲しむツインズ)”とにかかっているのだろうと思う。それを踏まえて意訳すると、“ツインズ、双子の黒星でヤンキースのマジック減らしを早生”ってところかな<下っ手だなぁ。