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三行書評 第193回

2005.3.28

 五つ星が満点。

沢木耕太郎
『酒杯を乾して』
(文藝春秋ISBN4-16-364930-1)
お薦め度 ★★★★
あらまし 「沢木耕太郎ノンフィクション全9巻」のうち、観戦記を集めた第9巻。F1、世界陸上、ボクシングヘビー級タイトルマッチ、日韓ワールドカップなどの観戦記集。
コメント 沢木節炸裂。観戦記というよりも、日記あるいは旅行記として面白いかも。
西部謙司
『アジアカップ&ユーロ2004超観戦記』
(双葉社ISBN4-575-29761-5)
お薦め度 ★★★
あらまし 2004年に、日本が優勝したサッカーアジア選手権とギリシャが優勝したサッカーヨーロッパ選手権の観戦記。
コメント ユーロ編のほうが優れているように感じられたのは、監督や選手の言葉に頼らず自分の言葉で書いているからかなぁ。それはともかく、どちらも詰め込み過ぎて散漫になっているような気がした。ドキュメントは、本質を見抜いた上で何を削るかだと思う。ユーロ編が無かったら星2つでした。
吉村昭
『事物はじまりの物語』
(ちくまプリマー新書ISBN4-480-68705-X)
お薦め度 ★★★
あらまし 歴史小説を書くために集めた史料で知りえた、スキー・マッチ・アイスクリーム・解剖・万年筆などの「本邦初物語」。
コメント 小説作品をモノにしているねたも多いので、興味を持ったら小説を読んでみるのもよいかも。
植草甚一
『ぼくの東京案内』
(晶文社ISBN4-7949-2572-4)
お薦め度 ★★★★
あらまし 「植草甚一スクラップブック」として復刻されている作品集のうちの一冊。
コメント 還暦を過ぎて、六本木のゲイバーで初めて会ったゲイボーイと朝五時半まで飲み歩いたり、糖尿病の検査入院のときに読む本として《やっぱり探偵小説かエロ本》を選んだり、ジャズ喫茶と試写室をハシゴしたりする。なんちゅー人だ。
石川文洋
『日本縦断 徒歩の旅』
(岩波新書ISBN4-00-430891-7)
お薦め度 ★★★★
あらまし 稚内から日本海沿いに沖縄の喜屋武岬まで、(1)家に帰らない(2)徒歩空白区間を作らない(3)荷物を運んでもらわない――の三原則に従い、総日数150日(徒歩日数126日)かけて行われた徒歩旅行の記録。
コメント 旅費の話、期間の話、装備の話などもていねいに記述されているので、実践の参考にもできるかも。
小沢昭一・宮腰太郎
小沢昭一的東海道ちんたら旅』
(新潮社ISBN4-10-408801-3)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 東京発大阪行各駅停車の途中下車ウロウロ旅。TBSラジオ制作の「小沢昭一の小沢昭一的こころ」が元。
コメント 俗謡・地口・狂歌・流行歌・浪花節・童謡・思い出話に美味いもの。艶っぽい話も頻出の435頁。