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三行書評 第196回

2005.4.18

 五つ星が満点。

江戸見廻りめ組
『天保の江戸くらしガイド』
(メディアファクトリーISBN4-88991-307-6)
お薦め度 ★★★★
あらまし 《遊女から将軍まで54人の仕事とくらし》が副題。勝海舟・葛飾北斎・徳川家慶といった実在の人物もいるけれど、モデルを設定して庶民の暮らし向きも紹介。東京に残る史跡を訪ねる散歩道も。
コメント 1両=4万5000円換算で収入やモノの値段を表示してくれているのが興味深い。
今野信雄
『江戸の旅』
(岩波新書ISBN4-00-009140-9)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 《大名行列、朝鮮通信使の一行、伊勢・金比羅参り、出湯の旅、武者修行、芸人の旅……。(中略)街道や宿場の発達の歴史をたどりながら、江戸時代を中心にして、昔の旅の姿を生きいきと再現する。》(見返しより)。
コメント 知的好奇心を充分に満たしてくれる面白い本。僕が読んだのはハードカバーの「特装版」なのだけれど、一九八六年刊の黄版から復刻されるだけのことはある。
棚橋正博
『江戸の道楽』
(講談社選書メチエISBN4-06-258161-2)
お薦め度 ★★
あらまし 黄表紙(大人向けの絵入り短編小説)研究家である著者が、園芸・釣り・学問・文芸に分けて道楽を紹介。
コメント 道楽とは関係ない話がいささか多いとか(背景と言えなくもないんだけど)、詳細な話は出てこないとか(名園の名前は出てきても詳細はわからない)、図版も黄表紙のものなのでどこまで正確なのか疑わしいとか、いろいろと不満があった。
磯田道史
『武士の家計簿』
(新潮新書ISBN4-10-610005-3)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 「金沢藩士猪山家文書」という武家文書に、天保13年から明治12年までの37年間にわたる詳細な「家計簿」が遺されていた。家計簿をExcelで処理したり書簡や日記を読み解くことによって、近代を迎えた武士が直面した諸問題――金融破綻・地価下落・リストラ・教育問題――を解明していく。

 NHKの『その時歴史が動いた』ではまず取り扱わないであろう無名もしくは非有名な人たちの歴史を勉強してみました。もうすこし続きます。