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7日目 シカゴ → のはずだったのですが・・・


今日のフライトは12:20発、空港直結のヒルトンに泊まっているので歩いていけます。
10時にホテルを出れば充分なのに、3人そろって6時に起きてしまいました。

いつものようにBGMにTVをつけ、入浴・荷作り・支度などを交代で手際よく済ませ、
8時15分頃10階の部屋を出てエレベーターに向かい、
ちょっと待たされて来たエレベーターで朝食レストランがある1階へ下ります。
同じ10階から乗り込んだ2人のパイロットがヒソヒソ話をしている中に
ハイジャックがあったという言葉が聞こえました。
(1機目のAA11便がハイジャックされたのが8:14なので、まさに極秘情報の段階で聞いていた事になります。)
私はMとSに「英語で言っちゃダメだよ、乗っ取りがあったらしいよ。」と説明し、
パイロットの話に耳を傾けていましたが、エレベーターはロビーフロアに着いてしまい
2人のパイロットは降りていってしまいました。
でもその時は、制服・製帽を身につけフライトバッグを手に颯爽と空港へ歩いていったので
特に気にもせず、私達も朝食レストランへ向いました。

席に案内されると、温かい物はオーダー、他はビュッフェ形式になっていました。
「帰る日にハイジャックだなんてヤダねぇ〜」などとのんきに話しながら食事をし、
食後、ギフトショップをのぞいたら、GODIVAのチョコが半額セールをしていたのでお買い上げ♪

部屋に戻りTVをつけると、ほんのり煙が出ているニューヨークのWTCが映っていたのですが、
まだこの時点ではボヤ程度と思っており、シカゴにいる私達には全く関係ない事と思っていました。
(先程のハイジャック話との関連など考える余地もないので、早口のニュースはBGM状態ですし
おそらくこの9時前後の時点では、航空機の突入とは公にされていなかったような気がします。)

でもTVをつけた当初は糸のような煙だけだったのに、
段々外壁まで色が変わって行くのを見て、ボヤじゃなくて大火災じゃない?
10時にチェックアウトする予定だったのですが、
なんだか胸騒ぎがするから早めに空港へ行きましょうと、フロントへ向いました。

AA011 BOS−LAX 07:54発 08:14ハイジャック 08:46WTC北棟突入
UA175 BOS−LAX 08:14発 08:43ハイジャック 09:03WTC南棟突入
AA077 IAD−LAX  08:20発 08:50ハイジャック 09:38ペンタゴン激突
UA093 EWR−SFO 08:42発 09:27ハイジャック 10:03ピッツバーグ墜落

フロントはごった返ししていましたが、単にチェックアウトで混んでいるのかと思いきや
後でわかった事ですが、航空会社や旅行社が部屋の確保をするために混んでいたのでした。
フロントの人から「全便欠航になっている。」と言われても何がなんだかわかりません。

するとロビーのTVにはブッシュ大統領の緊急会見が映し出され、
お客もホテル関係者も全員直立不動状態でTVに釘付けになっており、
チェックアウト業務は一時中断され、かなり異様な緊張した空気が流れていました。
テロに関する画像は一切無く、ただひたすらブッシュ大統領の演説だけ延々と続いており
繰り返し発する「アフガン」とか「ウーサマー」という言葉で、別の緊急な事が起こったのかと思っていました。
私レベルの語学力では演説は数%しか理解できず、空港へ行った方が情報がとれるかも・・・と急ぎます。
(この時点では突入の画像など一切ありませんでした。また、事実は伏せられていたり、錯綜していました。)

とりあえず空港のチェックインカウンターへ行ってみると、
混んでいるには混んでいるけど・・・のレベルで、聞くと今日はフライトキャンセルになるとのこと。
「明日は?」と聞くと「満席」・・・
「どうしても明日には帰国したい・・・」と言ったら、端末を叩いて
「全日空でよければ」と3席分のコードシェア便の搭乗券を発券し、ピンクの紙と共に渡してくれました。
(読みもしないでバッグにしまったこのピンクの紙が大切な物とわかったのはかなりたってからでした。)
「全日空ならいいじゃん・・・」と事の重大性を理解していない私達はのんきです。

じゃ〜もう1泊しなくてはいけないとヒルトンに向うも、すでに満室で取れません。
再び空港に戻り、ATSで全日空が利用するターミナル5へ行ってみます。
アームのないイスを確保し、夜明かしをする算段です。
T5はNHとJLが入っているターミナルなので、
模造紙に書き出された告知板やアナウンスも日本語で入り状況が良くわかってきました。
まもなく全米の全空港が閉鎖になるという情報が入り、空港での夜明かしは当然断念です。

JLは手書きの案内板を出したり、拡声器を持って歩きながら案内したりしており
またホテルも確保し、全利用者をバスに誘導していました。さすがという感じです。
NHはプリントアウトしたホテル一覧表を乗客に渡し、自分で予約せよ式だったのですが
ほとんどが団体旅行者だったので、現地手配会社や添乗員がエスコートしていました。
乗継はしても空港の外に出たことがなくシカゴの立地が全くわからない私は、
どのホテルが一番近いのか聞きに行ったら、
紹介できるホテルがあり、そこへのバスを出すというので、便乗させてもらえる事になりました。
K社の団体さんがいたためと思われるのですが、ラッキーでした。
先ほどUAのカウンターでNHの搭乗券を発行してもらっておいて、本当によかったです。
ちなみにUAもホテル一覧の紙を渡し、自分で予約せよ式でした。
(後日談:AAはホテルを無償で提供していました。)

空港周辺のエアポートホテルに分散され、
私達が案内されたのは車で10分ほどのラディソン・ホテルでした。
ホテルのフロントもごった返しし、なかなか順番が回ってきません。
しかもラックレートで、エアポートホテルレベルなのにかなり高く、
しかも1日毎の前払い(カード払い可)と強気です。

やっともらった部屋は1階で、窓の外はすぐ木々がありその向こうが塀で圧迫感があります。
すぐにTVをつけると、2機めがWTCに突入する画像や、ビルが崩壊する画像がずーっと流れており
ショッキングこの上なく、事の重大性がひしひしと伝わってきます。
(テロ後2〜3日、もしかしたらもっとだったかも・・・全チャンネルCMは一切入りませんでした。)
でもこの時点でも、ペンタゴンとピッツバーグのテロはほとんど触れられておらず、
WTCの事だけクローズアップされていました。
(昨夜ワシントン泊にしていたら、足止めはもっと長引いていたでしょう。)

とりあえずホテルの確保ができたし、明日のUAコードシェア便のNHの搭乗券はあるし・・・
自宅と会社に部屋から電話を入れ、
部屋についているコーヒーを入れお菓子を食べて、21時に休みました。
まさか6日間もカンヅメになるとはつゆとも思っていませんでした。


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