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三行書評 第19回

2001.10.8

 五つ星が満点。

村上春樹
『うずまき猫のみつけかた』
(新潮社ISBN4-10-353406-0)
お薦め度 ★★
あらまし 「マサチューセッツ州ケンブリッジ(ボストンの隣です)に居を構え、隣町メドフォードにあるタフツ大学に所属してい」た「一九九四年春から九五年秋にかけて『SINRA』というきれいな雑誌に毎月掲載していたものです」(「あとがき」から引用)。安西水丸画伯の絵、村上陽子カメラマンの写真付き。
コメント 都会的だなぁ健康的だなぁオシャレだなぁステキだなぁ。話題も写真も妙に猫が多いのだけれど、“うずまき猫”って何だよ。いや、文句言っても仕方ないんだけど、とりあえず。
鴨志田穣・西原理恵子
『アジアパー伝』
(講談社ISBN4-06-210094-0)
お薦め度 ★★★
あらまし タイ・カンボジア・ベトナム・ミャンマー(ビルマ)での出来事を綴ったもので、打って変わってこちらはガサツな世界である。現在『現代小説』に「新アジアパー伝」連載中。
コメント カンボジアに行ったのは1993年総選挙のとき。にわかプロカメラマンとなったカモちゃんは、ハシダさんタカハシ君とともにジャーナリストとしてカンボジアへ行く。狙いはスクープだから、危ないところへどんどん行く。このエピソードが面白かった。
椎名誠
『活字博物誌』
(岩波新書ISBN4-00-430586-1)
お薦め度 ★★★★
あらまし 「日頃たいした脈絡もなしに、そして発作的に読み散らかしているいろんな本の読後連想式妄想型ヨタ話である。/(中略)書いてあることは前作同様超個人的迷走読書ばなしであるから、岩波新書といってもこれを読んで「お利口」になるということはない(以下略)」(「あとがき」から)。
コメント だいたい関係ないことをふたつ。(1)「しいなまこと」と入力して変換キーを押して最初に出てきた候補は“恣意な誠”だった。(2)気になる本が載っているページの角を折りながら読んだが、英語ではこれを“犬の耳”というのだということを佐藤正午『ありのすさび』で知った。
小林照幸
『政治家やめます。』
(毎日新聞社ISBN4-620-31501-X)
お薦め度
あらまし 愛知2区(後に同8区)選出の自民党代議士久野統一郎氏は「政治家に向いていない」という理由から3期10年で代議士をやめた。『サンデー毎日』の連載(12回)に加筆したもの。
コメント 実は読みきっていない^_^;。題材としては興味あるものであるが、構成力・文章力の稚拙さに負けて読みきれなかった。知りえたことを時系列に詰め込んでいるので非常に散漫な印象を受けるし、台詞や独白が妙に多い文章(それらがどれだけ正確なのかわからないのだが)は読みにくかった(『小説・久野統一郎』みたいなんだもん)。こういっては身も蓋もないが、僕はそれほど暇ではない^_^;。
田中小実昌
『バスにのって』
(青土社ISBN4-7917-5735-1)
お薦め度 ★★
あらまし 月刊誌『ユリイカ』『東京新聞』『日本経済新聞』『東京人』などに掲載された(1990年代後半の)エッセイをまとめたもの。
コメント 白状するけれども勘違いをしていた。本職は役者で、執筆活動は余技だと思っていたのだ(殿山泰司さんを混同していた^_^;)。「浪曲師朝日丸の話」「ミミのこと」で第81回直木賞を受賞した作家さんだったのね。すまんすまん。