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三行書評 第33回

2002.1.14

 五つ星が満点。

花輪和一
『刑務所の中』
(青林工藝舎ISBN4-88379-065-7)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 銃砲刀剣類不法所持・火薬類取締法違反で懲役三年の刑に服した著者が描いたルポルタージュ漫画。
コメント 19時の就床から21時の就寝までテレビ視聴が可能(ただし規則違反が重なると禁止になる)である反面、雑誌のクロスワードを解くのは規則違反(ただしノートに書き写せばOK)だったりと、意外なことが多かった。「願いますの壁」は秀逸。
柳田理科雄・筆吉純一郎
『空想科学大戦!』
(メディアファクトリーISBN4-88991-654-7)
お薦め度 ★★★
あらまし 『空想科学読本』(柳田理科雄/宝島社)のコミック版。
コメント 「どうして存在するのか?」ではなくて「存在したらどうなるか?」を追求してみると、意外に面白いことになる場合がある(たとえば“透明人間”とか)。面白くて短時間で読めるけれども、どうせなら、『〜読本』の方を読んでいただきたい。
空想科学研究所
『空想科学論争!』
(扶桑社ISBN4-594-02821-7)
お薦め度 ★★★
あらまし 木原浩勝所長と柳田理科雄主任研究員と円道祥之客員研究員が繰り広げる空想科学論争。ゴジラによる意外な被害、ゴルゴ13の真の姿など、思わぬ結論が導き出された。
コメント 俎上に上がる議題は、「巨大生物ゴジラへの対応」「閉鎖的組織ショッカーの運営」「ウルトラマンの未知との遭遇」「万能兵器轟天号の使い方」「宇宙戦艦ヤマト成功の真の原因」「天才ゴルゴ13の光と影」「爬虫類ガメラに平和を託してよいか」の7つ。
中島義道
『ぼくは偏食人間』
(新潮社ISBN4-10-439702-4)
お薦め度 ★★★
あらまし 哲学者であり、『うるさい日本の私』を著した著者の日記。
コメント いやぁこれだけいろいろと――表紙から拾えば音・性愛・照明・言葉・女・態度・組織の――偏食があると生きていくのは大変だろうなぁと余計な心配をしてしまう。それは御本人も自覚しているようだ。
ディドチャップマン=ピンチャー協力
『犬のディドより人間の皆様へ』
(中村凪子/草思社ISBN4-7942-0562-7)
お薦め度 ★★★★
あらまし 著者は、チョコレート色をした雌のラブラドル犬。飼い主であるチャップとの生活を綴った異色作。もちろん実際には、動植物学にも造詣が深い元新聞記者のピンチャー氏が書いている。
コメント 近所の犬が集まって井戸端会議を行うというような形式のものではない。あくまで犬は犬、喋れないし四足のままだ。そこが良い。僕は犬を飼った(犬と生活した)ことが不幸にしてない。そういう経験があれば、もっと楽しめる本であるように思う。