2002.4.8
五つ星が満点。
和田誠 『お楽しみはこれからだ』 (文藝春秋ISBN4-16-333360-6) | |
お薦め度 | ★★★ |
あらまし | 「映画の名セリフ」という副題どおり、印象深いセリフを引いた本。『キネマ旬報』に連載した。タイトルは『ジョルスン物語』に出てくるセリフで、オリジナルはYou ain't heared nothin' yetだそうである |
コメント | 《楽観論者と悲観論者は、幸せな馬鹿と不幸な馬鹿だ》(『黒衣の花嫁』より)とか、《男は立って、女はしゃがんで、犬は片足をあげてするもの、なーんだ》(『心を繋ぐ6ペンス』より)など。このなぞなぞの答えは「握手」だそうだ。 |
和田誠 『お楽しみはこれからだPART2』 (文藝春秋ISBN4-16-333730-X) | |
お薦め度 | ★★★ |
あらまし | 日本映画が入ってきた。 |
コメント | 《"何故"に興味はない。考えるのは"いつ""どこで"と"いくら"だけだ》というのは『コンドル』(監督:シドニイ=ポラック)という映画でマックス=フォン=シドー演じる殺し屋のボスのセリフ。SFで特にそうなのだが、「なぜ」を追求しても面白くはならない(ような気がする)。 |
和田誠 『お楽しみはこれからだPART4』 (文藝春秋ISBN4-16-341070-8) | |
お薦め度 | ★★★ |
あらまし | 5年間の中断をへて連載を再開した。このシリーズはPart7まである。映画の中のセリフに限らず、(インタビューなどの)映画人の言葉も拾っている。 |
コメント | それにしても良く映画を見ているものだ。感心する。連載中断中に映画『麻雀放浪記』を撮ったわけだが、初監督であれほどの映画を撮れるということは、「門前の小僧習わぬ経を読む」ということだろうか。 |
和田誠 『お楽しみはこれからだPART5』 (文藝春秋ISBN4-16-350230-0) | |
お薦め度 | ★★★ |
コメント | 『フルメタルジャケット』の日本語字幕にキューブリックが文句をつけたという話(確かにすごかったもんな)と、鬼教官が本当に元海兵隊の指導教官だったという話は初耳だった。 |
和田誠 『お楽しみはこれからだPART6』 (文藝春秋ISBN4-16-351600-X) | |
お薦め度 | ★★★★ |
コメント | PART5の話題で恐縮だが、“Cape Fear”という映画は2本あって、1962年版(監督:J.L.トンプソン)の邦題は『恐怖の岬』、1991年版(監督:M.スコセッシ)のは『ケープフィアー』だ。安易にカタカナを使うのは、配給会社の怠慢を誹るべきなのか、それとも英語が分るようになった人が増えたことを喜ぶべきなのか。 |
と学会編 『トンデモ本の世界』 (宝島社文庫ISBN4-7966-1467-2) | |
お薦め度 | ★★★★ |
あらまし | トンデモ本とは《「著者が意図したものとは異なる視点から読んで楽しめるもの」である。要するに、著者の大ボケや、無知、カン違い、妄想などにより、常識とはかけ離れたおかしな内容になってしまった本のこと》だそうだ(「はじめに」より)。 |
コメント | 僕も、相対性理論に異議を唱えるトンデモ本を読んだことがあるが、あれは頭が痛くなった。自費出版が多い業界ではあるようだが、名の通った出版者では徳間書店が群を抜いている。なんでだろ。 |
若桑みどり 『絵画を読む イコノロジー入門』 (日本放送出版協会ISBN4-14-001668-X) | |
お薦め度 | ★★★★ |
あらまし | イコノロジーとは図像解釈学のこと。積み重ねられてきた歴史的事実に基づき、《その作品を成立させている(中略)歴史的・社会的・文化史的因子を総合的に再構成し、その作品のもつ本質的な意味を探索すること》(「まえがき」から)。 |
コメント | 一見何の変哲もない静物画にも主題があることを説明してくれる。また、ブロンズィーノの『愛のアレゴリー』のような、一見しても何やらわかない絵だってドンと来い、である。いやいや、こういう学問もあるんだね。 |
奥本大三郎 『虫のゐどころ』 (新潮社ISBN4-10-386801-5) | |
お薦め度 | ★★★ |
あらまし | 横浜国大の教授を辞めて『ファーブル昆虫記』の全訳に心血を注ごうと決心した前後に、いろいろなところに書いたものをまとめたもの。 |
コメント | 小言幸兵衛である。当時の学生を中心に、小言を言っている。教授の余技として書いたものだし、いろいろなところに不定期で書いたものだから、ネタのダブリは多い。 |
奥本大三郎 『当世 虫のゐどころ』 (新潮社ISBN4-10-386802-3) | |
お薦め度 | ★★★★ |
あらまし | 前書から10年以上たって、週刊朝日や読売新聞日曜版に連載したものをまとめたもの。 |
コメント | 失礼ながら腕を上げている。前書はあくまで教授の余技だったが、こちらはエッセイストの仕事だ。「毛布を洗う」なんて上手だなぁと思ったもの。 |