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三行書評 第104回

2003.6.16

 五つ星が満点。

秋山芳弘
『世界鉄道探検記ユーラシア大陸をゆく
(成山堂書店ISBN4-425-96021-1)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 東アジアとヨーロッパの鉄道乗り歩き。森重直子さん(テレビ朝日系『世界の車窓から』ディレクター)へのインタビューと、海外列車トイレに関する考察付き。
コメント 仕事柄――著者は(社)海外鉄道協力協会勤務――各国鉄道の視察も行っているから手慣れているようだ。ドイツ・フランス・イタリア・スイスを股にかけた欧州滞在四泊五日の調査旅行を自費で行ってもいる。個人的に非常に羨ましい。
竹中労
『ルポ・ライター事始』
(みき書房発売日本ジャーナリスト専門学院出版部発行
お薦め度 ★★★★
あらまし ルポ=ライター竹中労の半生記。
コメント “無政府主義者”という印象を持った。この本そのものは絶版だが、筑摩書房から文庫本(ISBN4-480-03474-9)が出ている。
椎名誠垂見健吾写真
『波のむこうのかくれ島』
(新潮社ISBN4-10-345613-2)
お薦め度 ★★★★
あらまし 宝島・小笠原諸島・対馬島・硫黄島(鬼界島)と竹島・ふたつの水納みんな島・天売島の訪問記。 島旅シリーズ前篇。
コメント 後篇と比べると、訪れている島が少々メジャーかな^_^;。でも、楽しそうであることには変わりがない。
中田祝夫
『日本の漢字』
(中央公論社ISBN4-12-401724-3日本語の世界4)
お薦め度 ★★★
あらまし 日本語は文字を生み出さなかった。中国から輸入した漢字から平仮名と片仮名は作り出したけれども、日本語表記に最適な――ハングル文字のような――文字は生み出さなかった。
コメント かなり硬い書物なので三ツ星にしたけれども知的好奇心が充分に満たされる良書。特に橡・柮・杤が駆逐され、新参者(明治初期に成立した)“栃”が優勢になった件に関する考察は――まる三が栃木県人だからかもしれないけれど――非常に興味深かった。
重松清
『きよしこ』
(新潮社ISBN4-10-407504-3)
お薦め度 ★★★★
あらまし 小学校6年間で5回転校し、吃音だった著者本人の個人的な七つのお話。
コメント 《うまくしゃべれない子ども》の母親から出版社気付で届いた、手紙がきっかけとなったそうだ。《吃音なんかに負けるな、と励ましてやって》欲しいとの願いに返事は書かなかったけれども、これが返事の代わりらしい。