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三行書評 第53回

2002.6.17

 1週休んだ三行書評。五つ星が満点。

山根一眞
『「メタルカラー」の時代』
(小学館ISBN4-09-379421-9)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 金属製の襟METAL COLLARとは、技術者集団を、ホワイトカラーおよびブルーカラーに対して象徴する造語。高さ455mのアンテナ鉄塔から直径0.3mmの極小リベットまで、「しんかい6500」の窓からスペースシャトルでの孵化実験まで、絶対に破れない巨大金庫から日銀の金庫を破壊した爆破技術まで。『週刊ポスト』1991年4月5日号から1993年5月28日号まで連載した、日本の技術の最先端を探訪したインタビュー集。プチプロジェクトX話が73篇。
コメント 例えば、明石海峡大橋の主塔は、約400tのブロックを30段積み重ねたそうだが、ブロックとブロックの隙間が0.04mm以下になるように作ったそうだ(そうじゃないと傾いてしまうとか)。例えば、瀬戸大橋児島坂出ルートの橋梁は、工場で作った4500tの鉄塊10個を100万本以上のボルト&ナットで繋げたそうだが、「どうして穴がピッタリ合うんですか」という問いに、「そうできる技術を開発してますから」という答えはカッコイイ。part6も読みました。
室積光
『都立水商!』
(小学館ISBN4-09-386079-3)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 東京都立水商業高等学校――通称“都立水商みずしょう”は、新宿歌舞伎町にある職業高校で、「ホステス科」「ソープ科」「ヘルス科」「マネージャー科」「バーテン科」「ホスト科」「ゲイバー科」が設けられ(創立三年目に「イメクラ科」「SMクラブ科」も設置)、今年で創立10周年を迎える。本書はその10年史である。
コメント 嘘です。小説です。素敵な登場人物が一杯。
中村明
文章読本笑いのセンス』
(岩波書店ISBN4-00-024610-0)
お薦め度 ★★
あらまし 狂歌・川柳・落語・夏目漱石・内田百閨E井上ひさしなど、文学に見る笑いを分析した本。
コメント 文学部の知り合いが居ないので憶測なのだが、文学部の人というのはこういうことをやっているのだろうか?
大住良之
『ワールドカップの話をしよう』
(NECメディアプロダクツISBN4-87269-213-6)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 著者は『サッカーマガジン』元編集長で、今はフリーランスのサッカージャーナリスト。『東京新聞』に連載した「サッカーの話をしよう」(NECメディアプロダクツから単行本1〜6発売中)からの抜粋を中心に、「ワールドカップの話」を書き綴っている。
コメント 《大きな声での応援は選手たちの闘争心をかきたてる。だが盛大な拍手は選手たちの自尊心を刺激し、それによってさらに好プレーが生まれる》(「拍手をしようよ」から)に共感した。テレビの前で^_^;惜しみなく拍手をしようと思った。「サッカーの本質を損なうテレビのアップ画面」に、僕が考えていたことと同じことが書かれてあったので心強く思った
宮田珠己
『ジェットコースターにもほどがある』
(小学館ISBN4-09-366412-9)
お薦め度 ★★★★★
あらまし アメリカと台湾と日本のジェットーコースター乗り歩き記。Sixflags Magic MountainのX、Cedar PointのMillennium Forceなどたくさん(クリックして探すと、動画が見れます)。
コメント 文章が笑っているのが玉に瑕。内容は面白く、文章はまじめにの方が効果があると思う(でも★×5)。ちなみに僕は高所恐怖症なので、乗ってみたいとはこれっぱかりも思わなかった。怖いもの見たさでした。
まちの図書館でしらべる編集委員会
『まちの図書館でしらべる』
(柏書房ISBN4-7601-2171-4)
お薦め度 ★★★★
あらまし 「こんなことも図書館で調べられるのか」と感心してしまう事例を引きながら、あまり知られていない「図書館のリファレンスサービス」を大いに利用しよう、という本。
コメント 僕の記憶が確かならば、僕が利用する「まちの図書館」に検索端末が入ったのは昨年度からだ(Windowsらしく、たまに青画面になっている^_^;)。題名か著者名で検索できるのだけれど、andやor検索ができるともっといいと思うときがある。
ニュートン別冊
『地球ミステリアス紀行』
(ニュートンプレスISBN4-315-51633-3)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 科学雑誌『Newton』からの「おいしいとこどり」。
コメント バハマのブルーホール、ギアナ高地のテーブルマウンテン、巨樹バオバブなど、のっけから写真に目を奪われた。ページをめくるたびにのけぞっていた。まったく関係ないのだけれど、わが町の図書館では、『Newton』の購読を止めてしまったんだよね。かなり残念。
ブラッドリー=トレバー=グリーヴ
『ブルーデイブック』
(竹書房ISBN4-8124-0610-2)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 動物(の顔)写真に「哲学的な」キャプションをつけた写真集。仁王立ちするアリクイに《「ひと思いに、撃ち殺してくれ!」と叫びたくなってしまう。》なんて、なかなか洒落ている。
コメント 『アサヒカメラ』の投稿写真コンテストを目にする機会があるのだが、タイトルの付け方に感心することがある。感心しっぱなしなのがこの本だ。
ブラッドリー=トレバー=グリーヴ
『地球の宝物』
(竹書房ISBN4-8124-0900-4)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 今度は、岩合光昭さんの写真にキャプションが付いている。
コメント 最後の最後にパンダのアップがあり、《(だってパンダのいない世界なんてつまらないもの)》で締める。岩合さんの写真はカワイイばかりではないところがこれまた新鮮。
田口光久監修
『100%サッカー通になれる本』
(廣済堂新書ISBN4-331-00712-X)
お薦め度 ★★★
あらまし いろんな「参考文献」から、おいしいとこどり(?)したサッカー雑学知識本。
コメント 1950年のブラジル大会で、ウルグアイに負けて優勝できなかったマラカナン競技場(入場者19万9854人)で4人の死体(ショック死2・自殺2)が見つかったとか、1982年のワールドカップスペイン大会で、黄金の四人組カルテット(ジーコ・ソクラテス・ファルカン・セレーゾ)を擁して優勝確実と目されていたブラジルが準々決勝でイタリアに負けると、ブラジル国内で32人の自殺者が出たとか、「信じられない話」がたくさん詰まっている。

 

いやぁスペイン×アイルランド戦は凄かったです。だって、みんなお上手なんですもの。パスを受けるとき、ピタッとワンタッチで思い通りの場所にボールを置くんですもの。見ていて楽しいですよね。自分勝手で申し訳ありませんが、今大会のNo.1に推しますです。

第1ラウンド(いわゆるグループリーグ)を見てアイルランドのファンになったんですけど、負けてしまいました。イチ押しだったポルトガルが敗退してしまったので、(優勝とはいかないまでも)活躍を期待していたのになぁ。