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 Q.正しい参拝のしかたってあるんですか?

A:神社への参拝は、心身を正し、清い心で神を拝すればそれで良いのですが、形に表すことも大事なことです。
その為の一定の祭式・行事作法がありますので、覚えておくと良いでしょう。
まず鳥居です。神社によっては、一の鳥居、二の鳥居、三の鳥居というように、いくつかの鳥居のあるところがありますが、鳥居は神社の表徴であるとともに、ここからは御神域ですよ、という神社の門として大切な意義があるものです。したがって、参拝者は鳥居を入るときは軽く一礼し、参拝を終わって出るときもまた軽く一礼するべきで、これは参拝者として守るべき心構えであります。
鳥居を入ると手水舎がありますから、そこで手を洗い、口をすすいで清めます。
お清めがすんだら御神前に進み、気持ちの静まるのを待って、二拝二拍手一拝の拝礼を行います。二拝二拍手一拝というのは、御神前で二度拝礼をして二度拍手(かしわで)を打ち、さらにもう一度拝礼することです。
この作法は参拝の基となるものですから、これを覚えておけば、たいていの場合まごつくことはありません。また、各家庭に祀られている神棚を礼拝するときも、この方法に準じて行えば、幼い家族も早くから御神前の作法を身につけることが出来ます。
 Q.神前の鈴は何の為に掛けてあるんですか?

A:谷川士清の倭訓栞(わくんのしおり)に『鈴とよむは音の清(すず)しきより名づくるなるべし。(中略)神慮をすずしめるの意なり』とあるように鈴の音は実にすがすがしい音を出しますから、神代の昔から神霊を招く道具として用いられていました。巫女が神楽を舞う時に振る神楽鈴がその起源らしく、かつては巫女が鈴を振りながら舞い、神霊を招いて神懸かりし、神の声を人々に伝える、その招霊の道具だったといいます。
神社にも拝殿に大きな鈴がつるされています。鈴には布を編んだような長い綱(緒)がついていて、参拝のとき、この緒を引いて鳴らします。鈴を御神前に掛けることは、いつごろから始まったものかわかりませんが、この鈴の緒を振って音を出させ、神様をお慰めする為のもので、同時に拝む人も清いすがすがしい気持ちになることが出来ます。おそらく相当古くからの習慣だと思います。

 Q.玉串(たまぐし)ってなんですか?

A:榊の枝に紙垂(しで)や麻を付けて神前に奉るものを玉串と言います。その語源については、手向串(たむけぐし)の略であろうといわれています。
古く用いられた実際の形式には、榊その他の常盤木(ときわぎ)の枝に、木綿や麻を取り付けたもの、竹の串に鏡や玉を取り付けたものなどがあったようです。これは、鏡・玉・木綿・麻など貴重な品々を神に捧げる為に、色麗しい木の枝や竹にのせたもので、鏡・玉・織物などが主で、榊や竹が従であることは、歌を書いた短冊を木の枝に添えて贈答した、平安時代の風習に考え合わせても明らかです。
この鏡・麻・木綿が専ら用いられるようになり、さらに木綿の原料である楮がしだいに紙の原料になってくるにつれて、木綿の代用に紙が用いられ、その形も形式化して、今日のような紙垂になってきました。
こうした沿革から見れば、玉串は神様に対するお供え物の意味に考えられますが、神道の世界では玉串というのは神様と人との間に立って霊威をとりつぐものとされています。この玉串を御神前に奉り拝礼することで、榊の小枝を通して人の願いが神様に伝わるとされています。
 Q.玉串奉奠(たまぐしほうてん)の作法ってあるんですか?

A:下の図で、玉串を捧げる一般的な作法の順序を説明します。
まず神職から玉串を受けるときは右手で榊の根本を持つようにし、左手は枝先の方に添えて受け取ります。 次に、御神前の案(机)の前に進み、軽く一礼します。 榊の根本(右手)を手前に引きます。このとき榊の枝先は御神前側になります。
榊の根本を左手に移し、右手は枝先に近いところを持ちます。 「の」の字なりに回しながら、左手に持った榊の根本を御神前に向けます。したがって枝先は自分の方になります。そのまま案(机)の上に置きます 終わったら二拝二拍手1拝してご神前をしりぞきます。
 Q.笏(しゃく)は何の為にあるんですか?

A:衣冠束帯(いかんそくたい)の正装で笏を持つ姿は、いかにも威儀を正すということを絵に描いたようで、誠に美しいものです。今では笏は神職に欠かせない用具のひとつとなっていますが、もとは笏を持つことは神職に限りませんでした。昔の人物画や像を見てもわかるとおり、官位のある人物は正式の服装をするときは必ずこの笏を持ったものです。
笏の本来の目的は、君命を伝える為や奏上事項を書いておく為の板だったのです。いうなれば内容を忘れない為の備忘のメモ代わりというわけです。今でも神職の中には、儀式の覚え書きをメモした小さい紙を笏の裏に貼ったり、祝詞を折りたたんだりして神前に出ることもあります。
昔は五位以上は牙笏(げしゃく=象牙製)とされていましたが、象牙はなかなか手に入らないので、白木で代用されました。六位以下は木笏ということになっていましたが、後にその区別はなくなりました。今はすべて木製ですが中でも櫟(いちい)の木が最良とされています。イチイは一位に通じるとされ珍重されたのです。
 Q.御神木(ごしんぼく)ってなんですか?

A:神社では、境内にあって特に神聖視されている特殊な樹木を選んで御神木として祀っています。御神木とされるのは、その神社にだけ自生しているものとか、ひときわ目立つ老樹あるいは巨木、またはその神社にゆかりのあるものを選びます。
御神木には注連縄を張ったり、神社によっては柵をめぐらしている所もあります。そして、これを御神体としている神社もあります。また、御神木として特定したものは無いけれども、神域内にある樹木で伐採を禁じられているものは、すべて御神木としているというところもあります。
古来、御神木は神のこもる依代(よりしろ)であるとか、神の降臨するところとされているため、勧請木(かんじょうぼく)または神依木(かみよりぎ)ともいわれてきました。山に職場を持つ木こりや猟師たちは、古くから神を祀る場合、山中に御神木を選定して、そこに山の神を迎え、作業の安全と加護を祈る風習があります。
御神木の種類としては、多くは松とか杉、榊などのような常緑樹が選ばれています。特に榊は神の木と書いて『さかき』と読ませているように、代表的な御神木とされています。榊は地域によっては生育しないところがあるので、これらの地方では榊以外の樹木を御神木にしている神社もたくさんあります。たとえば伏見稲荷では、稲荷山のシンボルである杉を験(しるし)の杉として御神木にしていますし、京都の北野神社では松を、太宰府天満宮では梅の木を御神木としています。
御神木には、このように自然木を御神木とするのが普通ですが、なかには臨時に木を植えたり、あるいは伐ってきて祀る例もあります。この種の特異な例としては、長野県の諏訪大社の御柱祭(おんばしらまつり)のように、山から巨木を伐り出してこれを境内に立て、神の依代として祀っているところもあります。これなども一種の御神木とみて良いと思います。
社殿のなかった古代では、御神木こそが神社の主役であったと思われるので、御神木を尊び祀る風習は、その名残とも考えられます。
 Q.千木(ちぎ)は何の為にあるんですか?

A:さきに、鳥居は神社の象徴だと述べましたが、必ずしもそうと決められないところもあります。なかには、寺院でありながら鳥居のあるところがあるからです。たとえば、豊川稲荷(愛知県)や各地の聖天宮(しょうてんぐう)などです。鳥居があるからといって神社と速断するのはまちがいです。なぜかといいますと、これは、かつての神仏習合の時代の名残がそのまま残っているからです。
鳥居の存在に対して、千木と鰹魚木(かつおぎ)は寺院には絶対ありませんから、これがあれば間違いなく神社です。千木は、波風(はふ)板
の先端が棟のところで交差し、上に突き出た部分のことです。古くは比木(ひぎ)とも呼ばれていました。
千木の始まりは、原始的な日本の建築様式からきていることは確かです。その建築様式を天地根元造りといいますが、この様式は2本の垂木(たるき)を交差したものを2組つくり、建物の前と後ろの端に建て、交差した2点に棟木を掛け渡した簡単なものです。この場合、棟木に接した所から上の垂木は、屋根よりも高くなっています。この高く突き出た部分を千木といったのです。
伊勢神宮に見られる神明造りの千木は、この垂木にあたる波風が伸びたままの古い形式を備えています。これに対して、出雲大社に見られるように、交差した2本の材を棟の上に載せた千木もあります。これを置千木といい、様式的には新しいのですが、装飾化されていることはいなめません。現在、ほとんどの神社の千木はこの置千木になっています。
千木は氷木(ひぎ)ともいい、火を防ぐ意味であるとか、千木は茅屋(ちや)の木あるいは違い木がつまったものともいわれています。さらに別の説では、東風をコチといい、疾風をハヤテ(古語ではハヤチ)といったように、チギは風木だともいわれています。垂木の押さえを目的としているところから、風木という言葉には、風除けの意味も含まれていると思われます。千木には強い風を避ける為に、いくつかの穴があけられています。さらには獲物をかかげる為の物だったともいいます。
千木の先端の切り口は、伊勢神宮の内宮(ないくう)では内削(そ)ぎといって水平に切ってあり、外宮(げくう)のは外削ぎといって垂直に切ってありますが、一般的に、水平に切ってあるのは女神を祀っている事を示し、垂直に切ってあるのは男神を祀っている事を示しているといわれています。

天地根元造り
伊勢神宮・千木(内削ぎ)
出雲大社・置千木(外削ぎ)
 Q.鰹魚木(かつおぎ)にはどんな意味があるんですか?

A:鰹魚木は千木と千木との間の屋根の棟の上に、棟に対して直角に並べた木の事です。鰹魚木という名称は、鰹木とも書かれているとおり、その形がカツオの干したもの、つまりカツオ節に似ているところからきたものです。
現在の鰹魚木は、千木とともに装飾的に用いられていますが、本来は棟木(むなぎ)または茅葺き(かやぶき)屋根の防風を目的とした、押さえとして用いられていたものです。
本数は神社によってそれぞれ違いますが、一般には、奇数の場合は男神を祀っている神社、偶数の場合は女神を祀っている神社とされています。使用されている本数は2本から10本ぐらいまでです。
ちなみに、伊勢神宮の場合、内宮は10本、外宮は9本となっています。そのほか、春日造りの神社では2本、大社造りでは3本、住吉造りでは5本、神明造りでは伊勢神宮と同じく10本となっています。
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