労務の劇薬/Blog版                                                               


2006年10月23日(月):会計検査院の騙し方

前回に引き続き、役所の裏事情。
自分でやってたので自信あり!?

今回は、会計検査を騙しちゃったの巻。

かつて職安で雇用保険の給付を担当してましたが、役所が適正な支出をしているかどうかの確認のため、数年毎に会計検査院が入ります。

雇用保険の給付に関しては、主に給付が適正がどうかの実地調査があります。
具体的には、事前に通知がきて、現受給者及び受給中に就職した者の中から無作為に何十人か抽出し、これらの状況について報告書を提出します。
報告の内容は、これらの者について、給付対象となった日に就業した日がないかどうかを実際に事業所へ赴き、賃金台帳等をチェックします。

中には台帳も何も備えてなく、どんぶり勘定で給料を払ってるような事業所もあります。私のいた職安の管轄は日光鬼怒川の旅館や土産店が多く、何日も車で回るハメになり苦労しました。
これらの事業所はカレンダーを出勤簿代わりにしてるならマシな方。どうにもならないような時は、聞き取ってこちらで作り、相手方のゴム印押しておくなんてことも。
でもまあ、人手不足だった時代でもあり、職安には協力的で救われました。日光のある土産店なんぞは、お茶どうぞと言ってビール持ってきた。「悪りぃーね」と飲んじゃったけど。(今やったら捕まるよ)

チェックしていて特にヤバイのが、受給中の就職者。保険の支給対象日は就職日の前日までなのですが、実は見習としてその前から働いているような連中が意外と多いんです。雇う側としては、本人が保険もらってるかどうかなんて関心ないし、早く働いてもれえればそれでいいのが実情。

これらのチェックで引っかかった場合は、会計検査当日までに何らかの措置をしておかなければなりません。いわゆる不正受給として処分し、本人からその分の回収するか、債権管理簿に登載し管理下に置いておかねばなりません。しかもその件数が多いと指摘事項となり、所長だけでなく中央の責任も問われます。

で、性根の座った私めは、一番最初に行う無作為抽出で作為抽出を挙行。就職者を極力排除。次いでチェックで引っかかった者は、事業所へ改ざんを強力指導。心配性の社長さんは「大丈夫け?」なんて聞いてくるけど構やしない。「直さねーと面倒なことになるよ」ヤクザまがいだな。本人の印なんぞは三文判を押し、日にちが経ったように見せかけるため日当たりの良いところに2〜3日。どうしてもハンコがない時はパラフィン紙で・・・(今はもっと良い方法あり)
ただ、全く問題なしとの報告もヤバいので、数件だけごく軽めの案件は放置。いわゆるお土産です。

こうして朝日新聞同様、捏造の報告書を元に会計検査院の検査官が数人職安に入ります。
でも、当日簡単に検査はさせません。観光地だったこともあり、初日は所長以下が視察と称して検査官を無理やり連れ出し、午前中はパス。
しかも検査官の嗜好も上級庁から連絡が入っており、一人は鳥が大嫌いとのこと。じゃ、気分落ち込ませようとのことで、ワシの剥製を玄関に。効果はなかったが。

検査そのものは、所内でやりますが、事前の報告書と事業所から預かってきた台帳との突合が中心。所長以下、皆神妙な態度で同席します。私しゃ面倒なので失業認定で、窓口に逃げてました。

結果として、県内で最も優秀な職安との講評を受けたとのこと。他の管轄はことごとく当所の2倍以上の指摘事項。所長大喜び。後日、「実は・・・」とゲロったら「ほほぉ〜(^^)」だと。
皆が真面目なのか、私があくどいのか。
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