ガイア・ギアデータベースサイト

◆ガイア・ギアメカデザイナー、伊東守氏特別インタビュー

当サイトでは2003年10月のリニューアル以降、『ガイア・ギア』に関する情報を全て網羅することを目的に、あらゆる方面から情報収集に取り組んでまいりました。しかし富野監督に引導を渡されているモノだけに、情報収集とコンテンツ拡充には限界が見え始めていたことも事実。特にマンマシーン設定や、製作背景の情報などは、当時の関係者に直接取材するほかないというのが現状でありました。

ところがです。先日、『ガイア・ギア』のヴィジュアル&メカニックデザインを担当された伊東守氏に、直接取材できるという幸運を得ました。『ガイア・ギア』ファンとして、これ以上の喜びはありません。貴重なお時間を割いていただいた伊東氏には、ただただ感謝するばかりです。この場を借りて、心より御礼申し上げます。

伊東氏には、メカニックデザインや設定、製作背景などについて、大変貴重なお話をいただきました。伊東氏の了解を得まして、以下にインタビューの一部を公開いたします。

―伊東氏個人とガイア・ギア連載時の状況について

Q.まず、現在のお仕事は。
A.フリーでクルマ誌のイラストなどを描いているほか、ゲーム制作などにも参加しています。アニメ関連はやってないですね。以前は手描きでしたが、今は完全にCGに移行しています。当時使っていた画材なども全て処分してしまいました。

Q.『ガイア・ギア』に参加された経緯は。
A.OVA『装鬼兵M.D.ガイスト』のイメージボードなどが目にとまったらしく、角川書店の「Newtype」からオファーがありました。クロス・ミラージュ(「Newtype」86年9月号付録ポスター)やZZガンダムのイラスト(「Newtype」87年1月号付録ポスター)を描いた後、『ガイア・ギア』に参加することになりました。

Q.当時はフリーだったのですか?
A.フリーのイラストレーターでした。ビルドアップ(株式会社ビルドアップは89年創業の企画・制作会社。特殊造形制作グループとして始まり、様々な紆余曲折を経て現在に至る。CG短篇『GUNDAM Mission to the Rise』も同社の制作)に参加したのは、『ガイア・ギア』も終盤になってからです。

Q.ビルドアップと『ガイア・ギア』との関わりは企画開始当初からのものなのでしょうか?
A.ガレージキット製作と、「HobbyJAPAN」の特集記事のみです。メカニカルファイルなど、連載時の設定文作成は当時『ガイア・ギア』の編集担当だった野崎透氏(『ガサラキ』のシリーズ構成など高橋組と繋がりの強いライター。当時は「Newtype」誌の編集者だった。)によるものです。私やビルドアップはノータッチでした。

―マンマシーンデザインについて

Q.ガイア・ギアαのデザインについて、富野監督はどういった意見をお持ちだったのでしょうか。
A.アルパは、富野監督によるラフ…というよりラクガキが元になっています。(1stガンダムの)ビグ・ザムとかと一緒ですね(笑)。最初はトサカが生えてたんですよ。ホントにラクガキ・・・

Q.「ガイア・ギアα変形パターン」のイラストではわからないのですが、変形の際どのように肩とウイング・バインダーが入れ替わるのでしょうか?
A.胸部ユニットのアーマーが上下に展開して、肩部とウイング・バインダーを支えるフレームが回転して入れ替わります。実は連載当時、ガイア・ギアαの立体見本があったのですが(「NEWTYPE Kids」会報に、モデルの写真が掲載されている。製作はビルドアップではない。)、そこでは完全変形を再現していました。角川から戻ってきてないんですけど…。

Q.ガイア・ギアαのコクピットのキャノピーが透明なのは。
A.変形の都合上、コックピットシールド(カバー)が着けられなかったんです。あれは透明に見えますけど実は液晶のような、電圧をかけると不透明になる偏向ガラスのキャノピーなんですよ。

Q.CD3巻のブックレットには、ガイア・ギアαのPHASE3、いわゆるガ○ォーク形態のラフ画が掲載されていますが。
A.当初から設定として提出していました。機構的に変型は可能です。劇中で使われる機会がなかったということで。

Q.全巻購入特典に掲載されたガイア・ギア雷電については。
A.気に入っているイラストです。でも、変形はしないです。どう変形したってこう(フライングフォーム)はならないですよね(笑)。

Q.ガイヤスの4色カラーは未発表ですが、全体が白、カメラアイは赤と考えていいんでしょうか。
A.うーん…そうですね(笑)。

Q.人気の高いブロン・テクスターですが、背面画の設定はないのでしょうか。
A.どのブロン? ああ、みんな(ゼロ型、量産型、改良型)なかったですね。残念ながら、描く機会がありませんでした。

Q.ブロン・テクスターの大気圏突入モードは、随分スリムになりますね。
A.肩部を前面にすぼめた上で、制動ボードと合体しているんです。

Q.#48「ギッズ・ギース」の回のカラー見開き(文庫4巻口絵p8)で描かれたマンマシーンはギッズ・ギースなんでしょうか?別の機体にも見えますが。
A.それは・・・ギッズ・ギーズ軽装型です。メカニカルファイルに掲載されたギッズ・ギースは重装型になります。ギッズ・ギースも、個人的に気に入っています。

Q.#39「フォーリン・ラブ」の回のイラスト(CD5巻表紙見開きイラスト)にも謎のマンマシーンが登場していますが…。
A.これは特に設定はありません。ビューシング・ナッグの付け合わせですね(笑)。

―最後に

Q.『ガイア・ギア』は残念ながら絶版・廃盤ですが…。
A.レア感が逆にいいのかも知れませんね(笑)。著作権を持っているので、私の原稿をまとめたイラスト集を作ろうかと思っています。紛失してしまった原稿もいくつかあるのですが。 『ガイア・ギア』は制作者側の手を離れ、今では完全にファンのものとなった と実感しています。これからは「スタートレック」のように、ファンの手で育てていこうと思っています。

(2003年11月某日、伊東氏ご自宅近くの喫茶店にて)

尚、伊東氏のお話に出てきたイラスト集「ガイア・ギア デザイン&イラスト集(仮)」については、当サイトにて詳細を発表予定です。

だったのですが、その後伊東氏とは音信不通となってしまい、結局イラスト集については夢物語となってしまいました。
2009年に角川書店から「機動戦士ガンダム30周年画集 天地創造」が出版される際には、その半年ほど前に角川書店の担当編集様から「伊東守氏とコンタクトを取ってほしい」との申し出があり(権利関係は角川書店が所有しているので出版には問題ないが、伊東氏には道義上ご連絡を差し上げたいとのこと)、いろいろと伝手を当たってみたのですが業界自体から足を洗ってしまわれたようで完全に消息不明となってしまいました。

我々はこのようなものまで用意してずっとお待ちしていたのですが残念です。

※「NEWTYPE Kids」会報の情報はZ31さんから頂ました。Z31さんありがとうございます。

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