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◆ダーゴル大佐のお言葉:CD2巻

1.ダーゴル大佐、ウルのいいわけを聞く(7話)

ダーゴル「ウル、お前の提出した報告書は読んだ。アフランシ・シャアという男、どうやら本物だな」
ウル「ハッ」
ダーゴル「シャア・アズナブルの記憶を持っていながら、そのことを知らずに生きてきた。奇妙だな。」
ウル「さあ?メタトロンの連中はアフランシを鍛えるためだと言っていましたが。」
ダーゴル「ほぅ、なるほど。・・・・・・どうだ、ウル。このバルコニーからの眺めは。」
ウル「真下に広がる森は人の手が入っていないように見えます。ヘラスにこのような場所があったとは知りませんでした。」
ダーゴル「この別荘はメタトロンの幹部が使っていたものだ。ここからの眺めが気に入ったので無理を言って自分のものにした。だが所詮はスペースコロニーの中の自然、作り物の自然だ。スペースコロニーは例えて言えば温室だ。温室に咲く花は美しいが強くはない。スペースコロニーで育った人間も同じ事だ。」
だから大佐は地球へ降りるべきだと考えてらっしゃるんですね
ウル「だからメタトロンはアフランシ・シャアを地球で育てたとおっしゃるのですか?」
ダーゴル「そうだ。地球の環境で育てるためにな。その考え方は間違ってはいない。そしてマハがメタトロンを潰そうとしたとき、アフランシ・シャアは眠っていた能力を目覚めさせた。やつが宇宙に来たことで反地球連邦政府活動は息を吹き返すはずだ。」
ウル「申し訳有りません。やつを宇宙へ上げたのは自分の責任です」
ダーゴル「ウル・ウリアン、アフランシ・シャアとお前とは因縁が出来た。アフランシはお前の前に立ちふさがる壁となったのだ。さてどうする?壁を乗り越えるか、遠回りして壁をよけるか、それとも尻尾を巻いて逃げるか?」
ウル「オレの邪魔をする壁はぶちこわします。それがマハのやり方ですから。」
ダーゴル「無能な人間は容赦なく排除する。それもマハのやり方だ」」
ならウルは真っ先に・・・
ウル「承知しています、ダーゴル大佐。失敗の償いはこの手で必ず」
ダーゴル「ではウリアン少尉、本日付けでブロン・テクスター第8中隊に配属を命じる。」
ウル「ブロン・テクスター?あの新型MMを実戦配備するのですか?」
ダーゴル「早くパイロットとしての勘を取り戻しておけ。メタトロンが動き出す気配があればすぐに出撃させる。」
ウル「わかりました」
マリーサ「ダーゴル大佐・・・・・・サイド4に展開中の連邦軍第3艦隊から連絡がありました。ホンコンで乗っ取られたスペースシャトルがメタトロンの宇宙戦艦と接触した模様です。」
ダーゴル「そうか。メタトロンは反地球連邦運動のシンボルを手に入れたということか。アフランシ・シャア・・・シャア・アズナブルの再来か。地球で鍛えた人間が初めての宇宙で何をするのか見せてもらおう。」

2.ダーゴル大佐、アフランシに理想を語る(8話~9話)

催涙弾で目をやられたアフランシ、フラフラと車道に飛び出してきて車にはねられる!
マリーサ「あなた、しっかりして。」
アフランシ「あぁっ・・・うぅっ・・・」
ダーゴル「ナジス大尉。」
マリーサ「も、申し訳有りません大佐。突然飛び出してきたものですから。」
アフランシ「うぅっ・・・。」
ダーゴル「救急車を呼んだ方がいいな。」
アフランシ「病院はダメです。港に・・・港に連れてってくださ・・・」
そして場面はダーゴル大佐の別荘へ
アフランシ「アッ!・・・・(どこだ?なぜこんな所に・・・ツッ・・・ああそうか、マハに追われて逃げ出し、たしか車にぶつかって・・・)」
マリーサ「目が覚めたのね」
アフランシ「あ、あの・・・」
マリーサ「フフ・・・眠っている間に医者を呼んで見てもらいました。軽い打撲傷程度で後遺症は残らないそうです」
アフランシ「すみません。ご迷惑をお掛けいたしました。」
マリーサ「お詫びをするのはこちらです。車を運転していたのは私なんです。」
アフランシ「あ、いえ、車道に飛び出した僕が悪いんです」
マリーサ「歩けますか?この屋敷の主に紹介したいのですが」
アフランシ「あ・・ええ・・・・・・・・・大きな家ですね、ここは。」
マリーサ「普段は使っていないのよ、別荘だから。・・・・・・こちらです。」
KNOCK!KNOCK!
ダーゴル「どうぞ」
アフランシ「(ああ・・・)」
マリーサ「ダーゴル大佐、お連れしました。」
アフランシ「(ダーゴル大佐?)」
ダーゴル「入りなさい・・・・・・何か冷たいものを持ってこさせよう。ナジス大尉、頼む。」
マリーサ「はい」
アフランシ「(今あの女の人はダーゴル大佐と言った。ダーゴル大佐・・・スペース・マハのリーダー。まさかこの男が・・・)」
ダーゴル「元気そうなので安心したよ君」
アフランシ「いろいろご迷惑をおかけしました。」
ダーゴル「気にすることはない。・・・・・・ほぅ、いい風が入ってくる。君、バルコニーに出てみないか?ここからの眺めはなかなかのものだ。」
ウルにもそうおっしゃってましたが、大佐のお気に入りですか?
アフランシ「うわぁ・・・すごい、森が広がっている。」
ダーゴル「ハッハッハッ。君はヘラスは初めてか?」
アフランシ「えっ?あ、いえ・・・。」
ダーゴル「眠っている間に君の身元を確認しようと思ったが、君は身分証を持っていなかった。本来なら身分証不携帯で逮捕するところだが、」
アフランシ「逮捕する?」
ダーゴル「私はマハに所属している。君を逮捕する権限があるのだ。」
アフランシ「(マハ?やはりこの男は・・・)」
ダーゴル「フフフ・・・だが今回は見逃しておこう。部下の不始末のせめてものお詫びだ。」
アフランシ「ありがとうございます。」
ダーゴル「どこかのコロニーからヘラスに流れてきたのか?」
アフランシ「はい」
ダーゴル「君、地球へ降りたことはあるか?」
大佐何げなく話題を変えました。これから少しずつ自分の進みたい方向に話題を変えていきます。
アフランシ「いえ」
ダーゴル「地球へ行ってみたいと考えたことは?」
アフランシ「地球ですか・・・環境汚染がひどいと聞いていますが・・・」
ダーゴル「いや、環境汚染は回復しつつある。私は10年前にヨーロッパに行ったがその当時でも噂で言うほどひどい状態ではなかった。」
アフランシ「そうですか」
ダーゴル「地球にはまぎれもない本物の自然があった。私は大地に足を踏みしめ体全体で風を受けた。ミストラルという風をな。」
アフランシ「ミストラル?」
ダーゴル「ハハハッ。季節風の名前だ。フランスのプロヴァンス地方を吹き荒れ地中海に抜ける乾燥した冷たい風のことだ。このようなコロニーの中で吹く風とは全く違う。少しでも気を許せば足下をすくわれ吹き飛ばされてしまう。信じがたいほど暴力的でエネルギーに満ちた風だ。私はその時知った。地球という、ちっぽけな惑星が多くの生命を生み、育んだのは風のおかげなのだ。地球上を吹き抜ける風は大地の汚れを吹き飛ばし、生きとし生けるものに多くの恵みを与える。わかるかね?私の言ってることが。」
アフランシ「ええ、わかるような気がします。」
ダーゴル「見渡す限り緑が広がる田園地帯にあの風が吹き抜けていく・・・私はもう一度あそこに戻りたいと思っている。・・・・地球の環境は回復しつつある。人間が手を貸すことによって地球はもっと早く甦るだろう。宇宙移民から200年、状況は変わった。かつて宇宙へ追いやられた人間が地球を救うためふるさとに戻るときが来たのだ。」
アフランシ「宇宙の人々が地球に降りるというのですか?」
ダーゴル「そうだ。私はその手助けをするつもりだ。地球逆移民計画・・・・魅力的な響きだとは思わないか?」
大佐、アフランシを誘惑していませんか?
アフランシ「今地球に人が戻れば再び汚染は広がりとりかえしのつかないことになります。地球の再生はまだ完全とは言えない。」
ダーゴル「ほぅ、まるで見てきたようなことを言うのだな。」
シャアの記憶は持っていても所詮は小僧。つるっと語ってしまってます。これも大佐の話術の賜物
アフランシ「あ・・・いえ、環境汚染について書かれた本を読んだことがあるんです」
そこにナジス大尉が冷たい飲み物を持って再登場
マリーサ「大佐」
ダーゴル「何だ・・・あぁ、飲み物はテーブルに置いてくれ。」
マリーサ「はい」
ダーゴル「全ての人類が宇宙に上がり地球をそっとしておくべきだという考えがあるが、」
大佐また話を一歩核心に近づけました
アフランシ「はい」
ダーゴル「その考えがいかに素晴らしいものであっても、人類は地球に居座り続けるだろう。なぜなら地球には重力があるからだ。」
アフランシ「重力?」
ダーゴル「人は重力から逃れることは出来ない。宇宙に来ても人は地球の重力を忘れられずスペースコロニーという小さな地球に住んでいる。人間というのは悲しいまでに保守的なのだ。」
アフランシ「だからといって今地球に降りていいという理由にはならないでしょう?」
ダーゴル「100億・200億の人間が降りるわけではない。選ばれた人間だけが地球に戻り、地球環境をコントロールする。」
アフランシ「なぜ今宇宙を捨てる必要があるんです?人は宇宙にスペースコロニーを浮かべた。それはすばらしいことです。人間の持つ限りない可能性を感じます。」
ダーゴル「フフハッハッハッ・・・君も案外理想主義者だな。もう少し現実を見たまえ。人が宇宙で暮らしていけるのはスペースコロニーという生活の場があるからだ。充分に食べるものがあり、着るものがあり、暖かなベッドがある。それだけでほとんどの人間は満足して生きていく。だが・・・私は違う。私には理想がある。その理想を実現するためにはどんな苦難も厭わない。だが、そういった理想を一般の人々に押しつけることは単なる独善に過ぎない。インテリがよく陥る失敗だ。それでは世の中を治めていくことは出来ない。革命や社会運動が失敗するのはその運動理念の欠陥からではない。民衆が肉やパンを手に入れられなくなり、不平不満を言うようになるからだ。そのことをインテリは理解しようとしない。人は理想のために死ぬことが出来ると信じている。」
ここが大佐の最も言いたいことなんでしょう。インテリ=メタトロンの幹部という暗喩と考えられます。実際メッサーたちの例で見るように、一般のスペースノイドとメタトロンの活動家の間には微妙なズレがあるように思えます。そのズレこそメタトロンの活動家が自分達の理想を一般の人々に押しつけているからではないでしょうか
アフランシ「死ねませんか?理想のためには」
ダーゴル「私なら自分が信じた理想のために身を投げ出す。君も理想のために死ねるかもしれないだが、大多数の人々は違うのだ。それをわからなければ世直しは出来ない。・・・・・かつて一人の男がスペースコロニー独立運動を起こした。その男は理想主義に走り現実との溝が埋められず、やがて歴史のはざまに消えていった。スペースコロニー独立運動の英雄、シャア・アズナブル。もう1人のお前だ、アフランシ・シャア」
さしずめ「ドーン!!」という効果音が似合いそうなシーン・・・
アフランシ「知っていたのか!僕のことを」
ダーゴル「お前も私のことを知っていたようだな。」
アフランシ「スペース・マハのリーダー、ビジャン・ダーゴル」
ダーゴル「最初にあったときからお前は普通の青年に見えなかった。お前の中に秘められた力を感じたのだ。」
アフランシ「なぜマハの計画をしゃべった」
ダーゴル「地球逆移民計画はまもなく公表される。今さら秘密にしておく必要はない。地球に降りられるとわかればコロニーの住民はマハに協力する。メタトロンは支援してくれる人をなくしすぐに潰れる。」
アフランシ「人は宇宙空間で無限に発展する可能性を持っている。その可能性がある限りメタトロンはつぶれない」
ダーゴル「そのお前の理想主義は100年前にシャア・アズナブルが失敗したことだ。同じ事の繰り返しになるぞ。」
アフランシ「シャアが失敗したからこそ僕が、アフランシ・シャアがやり直すんだ!」
ダーゴル「そうか、それがお前の考えか」
わらわらと兵が乱入!
ダーゴル「話の続きはマハ本部で聞こう、アフランシ・シャア

3.ダーゴル大佐、ウルを諭す(10話)

マリーサ「ダーゴル大佐、ヘラス各地のマハ支部で爆弾テロ事件が続発しています。マンマシーン強奪事件の混乱をきっかけにメタトロンの潜在勢力が攻撃をしかけていると思われますが。」
ダーゴル「徹底的に弾圧しろ。この機会にヘラスに残るメタトロンの芽を完全に摘み取る。」
マリーサ「はい」
ダーゴル「ヘラスを完全に制圧したという油断があったようだな。懐に飛び込まれ、こうも好き勝手に引っかき回されるとは。」
大佐、だいぶご立腹の様子です
マリーサ「大佐・・・・・・」
兵「ウリアン少尉のブロン・テクスターが着陸許可を求めています。ダーゴル大佐に面会を求めています。」
マリーサ「ウル!」
ダーゴル「着陸を許可する。私の部屋に通せ
マリーサ「ウルめ、私の命令を無視するつもりか」!
ダーゴル「ナジス大尉、しばらく席をはずしてくれ」
マリーサ「大佐!?」
ダーゴル「ウルには私から言う」
マリーサ「・・・・・・はい」
ウル「ウリアン少尉参りました
ダーゴル「入れ・・・・作戦行動中に何の用だ」
ウル「それは・・・大佐が一番よくご存じのはずです」
ダーゴル「アフランシ・シャアのことか?」
ウル「逮捕の際になぜ知らせて頂けなかったのですか?」
ダーゴル「それが不満か?」
ウル「はい。大佐は私とアフランシの因縁、ご存知のはずです」
ダーゴル「わかっている。だからこそ知らせなかった」
ウル「は?」
ダーゴル「お前のアフランシ・シャアに対するこだわりがマハのためにならないと判断したのだ」
ウル「なぜです?アフランシが私の壁だとおっしゃったのは大佐です!」
ダーゴル「たしかにそう言った。その壁を乗り越えることがマハのためでもあると思っていた。だが、アフランシと実際あってみてよくわかった。今のお前ではアフランシを越えることは出来ない。」
アフランシとウルでは・・・・ねぇ
ウル「大佐!」
ダーゴル「お前のこだわりはやつと出会ったときの因縁から来ているものではない。アフランシ・シャアという存在そのものがお前のコンプレックスを刺激するのだ。」
ウル「オレのコンプレックスを・・・」
ダーゴル「そうだ。アフランシ・シャア・・・南の島で自然に囲まれ育ったというが、貴族の血筋を思わせるような気品を感じさせた。ヤツの持つシャア・アズナブルの記憶がそうさせるのだろう。
大佐・・・貴族とか気品とか・・・そんなトルース・シュトロンガーみたいなことを・・・
ウル「シャアの記憶を持つことがそれほど素晴らしいことなのですか?自分は常に努力してきました。上に行くためには向上心を持って努力するしかなかったんです。だがヤツは、アフランシ・シャアはシャア・アズナブルの記憶を受け継いでいるというだけで全てを手に入れている。」
ダーゴル「それが悔しいのか?ウル」
ウル「自分はアフランシが目障りなのです。だから排除したい。それだけです。」
ダーゴル「アフランシ・シャアの存在がお前の目を曇らせている。こだわりはすてろ。その拘りこそ、お前にとっての壁なのだ」
ウル「大佐!」
ダーゴル「フッフッフッ・・・いずれにせよアフランシは今我々の手中にある。もうお前を悩ますこともなくなる。」
ウル「アフランシを処刑なさるのですか?」
ダーゴル「いや、ヤツを殺せばメタトロンは復讐心に燃えて反撃してくるだろう。それよりも、もっと上手い方法がある。」
ウル「どうなさるのです?」
ダーゴル「アフランシの頭の中にあるシャア・アズナブルの記憶を消し去り、アフランシの身柄をメタトロンに返す。」
ウル「なるほど。ヤツはマンマシーンの操縦もできないただの男に成り下がるというわけですか。」
ダーゴル「うれしいか?ウル」
ウル「いえ、自分のこの手でアフランシを倒せなかったこと残念です」

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