◆ダーゴル大佐のお言葉:小説版
『ああ、正気を維持できるレベルに、手加減したのでな?結果は悪いが、奴は、ズィー・機構からは、なにも知らされていなかった。シャアの再来だという可能性さえ、あまり自覚していない』
小説版における大佐の初台詞。直前のウルの台詞「自白剤を飲ませた結果がこれですか」に応じたもの(飲まされたのは警察に逮捕されたアフランシ)。「いかにもやり手という感じ」「瞳は透明に見えるブルー」など大佐の外見を紹介する記述も・・・。
『役人たちは、法律改正から始めて、組織づくりそのものを楽しむ習性がある。連中には、結果などは、いつでもいいんだよ。』
宇宙世紀を2世紀も過ぎても官僚体質というのは変わらないのですね・・・。ヘラス政庁、警察、軍、それぞれと対応しなければならない大佐の立場もつらいですね・・・。
『いいでしょう。そのかわり、独自に動きます。ゲリラ的に動くことが有効だ、というのが、おわかりいただけますな?』
ズィー・オーガニゼーションの発した政治犯返還要求に対してあわてふためいて大佐に面会を求める軍宇宙監視局長官とヘラス政庁の二人の閣僚。大佐は彼らから『マハにまかせる』の言質をとりたい。そのやりとりの中で警察とは別にマハが独自に逮捕した容疑者を出すことで独自行動を認められた際の台詞。圧倒的に優位に立ち、自らが求める側に話を持っていく大佐。お見事です。
『・・・・・・そんなことを申しましたか?』
上の台詞の続きになります。さらに暗に現状での軍の混乱と指揮権のマハへの移譲を匂わせる大佐。閣僚に「軍の統率権もマハに寄越せとおっしゃるのですか?」と言われのらりくらりとかわした台詞
『一撃二撃ぐらいは、攻撃させねばならん。そうしないと、反地球連邦政府活動全般を、武力で弾圧する口実がなくなる。そうなれば、ようやく、ヘラスに届いたそのマハ・ゲイジスの活躍場所だってなくなるというものだ』
ズィー・オーガニゼーションの攻撃に備えマハ・ゲイジスを進宙させた際の台詞。反対勢力の暴挙をあえて見逃すことにより、被害を大きくし、自勢力の正当性とする・・・。さらに民衆に被害でも出れば相手勢力への憎しみと自勢力への支持へと変えることが出来る。・・・・策略家ですね、大佐は。策に溺れなければよいのですが・・・。
『人類は、永遠に重力は忘れんよ。地球に住めるかもしれないという魅力は、誰にも抗しがたい・・・・・この俺だって、胸が躍るというものだ。』
しかし大佐のドキドキは地球に降りられるからではなく、この作戦が成功したらマハのトップになれるかもしれないという権力の魅力から来ているんですよね。そこがサウンド版の大佐と違うところ・・・
『組成などは同じだ。コロニーによって、味も臭いもちがうというが、そんなものだ。風が砂ぼこりを舞いあげるのが、気持ち悪いんだな。』
地球に初めて降りるスェームズ艦長の地球の気候についての質問に答えているときの台詞。ミストラルを体全体で受けて喜んでいるサウンド版の大佐と大きく異なっているところのひとつですね。
『我々が、そんな甘い読みをしたか?』
マザーメタトロンのヌーボ・パリ爆撃後、作戦参謀のシムナウ中尉の「メタトロンを市民運動と考えすぎていましたか・・・・・・」の台詞に対して発した台詞。大佐痛恨の敗北です。しかし自分の失敗を直視し、冷静に対応できる力はさすが大佐!と思わせます。
『そのときは、不法に地球に居住している高官たちの家族を人質にとって、布陣する必要がある』
大佐はアフランシの前線進出により指揮命令系統が混乱しているメタトロンよりも、連邦政府がマハの独走に反発してくるかもそれない政治的な問題を深刻に考えています。その対処としての台詞です。その他にも政治的特権を持つものを招いての大規模な音楽会・園遊会の開催を考えており、そのためにもバイエルンの地を必要としているんですね。この巻は大佐の出番が少なくちょっとがっかり・・・。
『貴様の懲罰は、戦果を上げることだ。こうして生きて帰ってくれば、休む間もなくなんべんでも出撃して戦果を上げろ。それが貴様の懲罰だ』
またもやメタトロンに敗れ、あまつさえ捕虜になってしまったウルを救出したあとの大佐の台詞。サウンド版の大佐ならとうに見限ってしまうところですが、こちらの大佐はサディスティックなまでにウルの失敗を冷笑しながら、彼がどこまで無様に失敗を続けるか見るのを、楽しんでいるのです。怖いですね。それにしても捕虜の身分で救出されるのを恥と思って逃げようとしたウル・・・情けな・・・
『しかし、どうであれ、バイエルン一帯は誰の手にもさわらせない・・・・・』
レーダーに探知できるような高度でアルプス山脈上に侵入してきたアフランシの部隊。その直線的な攻撃に疑心暗鬼になる大佐。「予定通りの戦力が集められないから、ここで乾坤一擲のしかけをするのか、それとも仕掛けられる戦力が整ったから来るのか・・・」それらの不安を吹っ切り、ワーグナーのタンホイザー序曲を口ずさみながらの台詞です。
『そうか・・・・・・裸にできるか?』
マハの捕虜となったエヴァリーに尋問する大佐。その最中にでた台詞です。どんな意図があったにしろ、小悪党ぶりが丸出しです。
『・・・・・・エヴァリー・キー・・・・・・ニュータイプか・・・・・・』
さるぐつわをされたエヴァリーと「会話」をした際の大佐の台詞。エヴァリーのこの力はニュータイプの力なのでしょうか?そしてそれを感じ取ることの出来る大佐にもその萌芽があるのでしょうか?
『全マンマシーンと艦艇は、アマガウアー・アルプスの線を越えて、アフランシ部隊のすべてを殲滅しろ。連中をバイエルンに入れちゃあならん!』
大佐の作戦の真意を読みとり、ノイシュヴァンシュタインを戦場に巻き込むべく進出してくるアフランシたち。それを悟った大佐がノイシュヴァンシュタイン城の空域(ゼロ・ポイント)を守るべく発した台詞。しかし、戦力の移動によって決定される戦場のルーティンを無視した個人の思い入れのみによるこの命令により、マハは自壊への道を突き進むことになってしまいます。
『戦闘には、この時というタイミングがある。今までその時期を逸していたから、アフランシごときに好きにされていたのだぞ!?今になっても、なんでそれがわからんのだ!』
マハ・ゲイジスに先行し、アフランシ部隊の先鋒と接触しようとするホンコン・マハのMM部隊に対し「ザコは相手にするな」と伝える大佐。その命令に対し、「ホンコン・マハのやりたいように行動させるのが適切」と進言した作戦参謀のシムナウ中尉に対し、連絡用のポケットベルを投げつけながら発した台詞。・・・・・・おとなげないですぞ大佐。
『貴様ごときにはわからん大事なことがある!戦線はっ・・・・・・』
エヴァリー・キーを連れ出したウルが、ノイシュヴァンシュタイン城(ゼロ・ポイント)からアフランシへ向けて「エヴァリー・キーが会いたがっている」と通信を送った。それを知った大佐がノイシュヴァンシュタイン城を戦闘に巻き込むのを避けるべく、マハ・ゲイジスの高度を上げようとしてシムナウに制止された際の台詞。実は大佐やジャンはアフランシの前衛や中核はなにがなんでもミュンヘンに強襲をかけようとしている思っていたようですが、冷静に戦況を見守っていた勢力もあったのです。それがブノア・ロジャック。大佐が語って(わめいて?)いる最中に、彼女はマハ・ゲイジスの左前にいたコイリューを撃沈させます
『・・・・・・ワーグナーを聞くまでは、ゼロ・ポイントには誰も・・・・・・』
これが小説版での大佐最後の台詞となってしまいます。コイリューの爆発に巻き込まれる形でマハ・ゲイジスは撃沈してしまいます。それにしても最後もシムナウを叱りとばした台詞・・・連邦軍出身だから風当たりが強かったのでしょうか?